- 発行日 :
- 自治体名 : 北海道美唄市
- 広報紙名 : 美唄市広報「広報メロディー」 2025年10月号
子どもの発熱
発熱は小児科受診理由の多くを占めます。多くの場合はウイルスや細菌の感染によって生じ、この場合の発熱は生体防御反応の一つと考えられます。ウイルスや細菌の増殖は通常37度前後で最大となり、温度が上がると増殖は弱まります。したがって、発熱時にむやみに体温を下げることは生体防御反応を弱めることにもつながります。一方で発熱時には人間の体力も消耗するので、解熱剤を使うべきかどうかは状況次第ということになります。子どもは39度出ていても元気にしていることもありますので、走り回っている子どもを捕まえて解熱剤を投与する必要はありませんし、スヤスヤ眠っているのにたたき起こす必要もありません。一方、微熱でも頭痛や咽頭痛をともなっている、元気がない、熱性けいれんを持っているなどの場合には早めに解熱剤を使うのが良いと思われます。
発熱が長引く場合や繰り返す場合には(1)感染症に弱い(免疫不全症)、(2)川崎病や膠原(こうげん)病、(3)悪性腫瘍、などのことがあるので検査をした方が良いでしょう。近年は周期性発熱症候群が注目されており、特に1~2カ月に1回3~6日高熱が持続し扁桃(へんとう)腺炎・口内炎・頚部(けいぶ)リンパ節炎をともなうPFAPA症候群という疾患はしばしば見られます。溶連菌による咽頭炎と症状が似ていますが抗生剤とは無関係に5日前後で解熱します。私の前任地(札幌の病院)でも9年間で40数人の患者さんを経験していますので、決して稀(まれ)な病気ではありません。発熱発作の予防法もありますし、不要な抗菌薬投与を避ける意味でも、心当たりがあれば小児科を受診してしっかりと診断しておく必要があります。
〔執筆者紹介〕
美唄市医師会・小林一郎
市立美唄病院小児科医師