くらし 令和7年度 町政執行方針(1)

令和7年第1回鹿部町議会定例会の開会にあたり、私の町政執行に対する所信と基本方針を申し上げさせていただきます。

はじめに、この度の町長選挙におきまして、町民の皆さまの力強いご支援と心温まるご厚情を賜り、無投票当選の栄に浴し3期目の町政を担わせていただくことになりました。
これまで同様、初心を忘れることなく「進むべき道は町民の皆さまの中にある」を信条に、これまで以上に幅広く、町民の皆さまの小さな想いや気づきに寄り添いながら、町民の皆さまと共に私のすべてで、町行政を進めてまいる所存であります。
これまでの8年間、ただひたすらに笑顔あふれ光り輝くまちの実現に向け、町民の皆さまはじめ、議員の皆さま、そして、職員の皆さまと共に駆け抜けてまいりました。
3期目においても、第6次総合計画に基づき、浜の活力再生、高齢者福祉の充実、移住定住対策の強化、人財育成および人材確保支援、創業・起業支援、食と観光によるまちづくりの6つの施策を軸に、DXやGXにも果敢に挑戦し、笑顔があふれ、光り輝くまちづくりに努めてまいります。

令和7年度は、第6次総合計画の2年目となります。
現在、総合計画に示された「子育て負担ゼロへの挑戦」、「人口減対策の推進」、「地域循環型経済の構築」の3つの重点事項について、明確なPDCAサイクルなどの仕組みのもと、適宜、必要な改善を図りながら勇気をもって挑戦を続けているところでありますが、国内では長期化する物価上昇や急激な人口減少などにより、公共事業費の高騰や人財不足など、本町の施策を進める上で、大変大きな障壁となっている状況にあります。
しかしながら、こうした正解のない時代だからこそ、その道なき道へ一歩を踏み出す勇気を持ち、町民一丸となり力を注ぎ、私たちの未来の笑顔のために、果敢に挑戦を続けてまいります。
それでは、主な施策について申し上げます。

■漁業振興
はじめに、基幹産業である漁業の状況についてでありますが、主要魚種であるスケトウダラおよびタコの漁獲量・金額の大幅な減少に伴い、一部の魚種は若干増加しているものの、全体では漁獲量・金額ともに減少傾向にあります。それに加え、近年の燃料や資材の高騰により、漁家経営は依然として厳しい状況が続いております。
このような状況から、浅海資源の維持・増大に向け、磯焼け対策であるウニの駆除やナマコ・アワビの種苗放流を引き続き実施してまいります。
ホタテ養殖漁業については、例年並みのホタテ稚貝を確保できず、ホタテ養殖業者の所得の減少等が懸念されることから、今後の状況を注視し、必要な支援等、然るべき対応に努めてまいります。
また、アルプス処理水放出の影響により、輸出主要魚種であるナマコの価格に影響が発生しておりますが、東京電力による補償がなされていることから、引き続き適正な補償が受けられるよう対応してまいります。
6次産業化の取り組みとして行ってきました青のり陸上養殖試験事業については、これまでの試験結果を踏まえ、更なる品質の向上や商品開発と併せ本格稼働に向けた設備導入を行い、「サステナ・ブループロジェクト」を推進してまいります。
また、近年の環境変化等による水揚量の急激な減少等の影響により、安定した漁家経営が難しい状況であることから、未利用資源であるムール貝の可能性について検討する等、新たな漁業種として漁家経営安定の一助になるよう進めてまいります。
漁船漁業については、地球温暖化等の影響により、魚種および水揚時期の変化や水揚量の減少等もありますが、タラバガニやズワイガニなど、高単価な新たな魚種が急激に水揚げされている状況であることから、引き続き、衛生管理の徹底により付加価値向上につなげ、漁業者の所得の安定と向上を図り、その日の漁模様で一喜一憂しない、盤石な漁業体制づくりに邁進してまいります。
また、人口減少に伴う担い手不足に対応するため、地域おこし協力隊制度等を活用し、漁業協同組合等と連携を密にし、新規漁業者等の優良人材確保に努めてまいります。
漁港整備については、本別漁港中央ふ頭の大規模改修を行うほか、引き続き鹿部漁港の取排水施設にかかるコストを低減させるための仕組みの構築に努めてまいります。

■中小企業・商工業振興
次に、中小企業・商工業の振興について申し上げます。
中小企業および商工業については、地域経済の担い手として、雇用創出や地域産業の振興に不可欠でありますが、人口減少に伴う商店等の承継問題、加えて、長期化する物価高騰等の影響により、依然厳しい状況が続いております。
このことから、町内事業者における、商工業等の活性化に資する販売促進や事業拡大、経営力向上に資する設備投資等の取り組みに対する「鹿部町商工業等活性化支援対策事業補助金」や起業または創業を促進するため支援してまいります。
また、担い手不足の問題解消に向けた取り組みとして「地域おこし協力隊インターン制度」を活用し、町内事業者はもちろん、新たに起業創業する方を後押しする施策を通じ、地域循環型経済の構築を進めてまいります。
脱炭素・エネルギーについては、令和6年度に脱炭素に対する意識醸成を図るため、渡島総合振興局と連携し、「ゼロカーボン北海道パネル展INしかべ」を開催したほか、湧出量と温度を有する道の駅しかべ間歇泉公園内の「温泉蒸し釡」の泉源を活用した発電の可能性調査を実施しました。
令和7年度につきましても、脱炭素に対する意識醸成を図るための勉強会を開催するほか、「温泉蒸し釡」の泉源を活用した発電については、発電の可能性と適合する発電手法や発電機等が確認できましたことから、本格運用に向け機器等の整備を進めてまいります。
本町としては、地球温暖化対策をめぐる国内外の動向を注視しつつ、2050年までに温室効果ガスの排出量実質ゼロを目指し、「鹿部町再生可能エネルギー導入計画」のほか、「鹿部町地熱資源の保護及び活用に関する条例」に基づき、自然環境と生活環境との調和と共生を図りつつ、事業を推進してまいります。
ふるさと応援寄附金については、令和6年度は11億円を上回るご寄附を賜りました。令和7年度についても、ふるさと応援寄附金を通じた町の魅力向上へとつなげるため、総務省が定めるふるさと納税制度の運用に関する規定を遵守しつつ、更なる寄附金の拡大と事務の効率化に取り組んでまいります。
雇用・労働については、令和6年度まで実施した厚生労働省の受託事業である「地域雇用活性化推進事業」を通じて培ったノウハウを活かし、鹿部町地域就労サポートセンターにおいて、開催方法の見直しや社会教育との連携を図りながら今後もより効率的な事業を継続し、多様化する雇用と労働の情勢に適用できる地域づくりに取り組んでまいります。