くらし 法テラス江差通信~子どもの手続き代理人制度について~(第187号)

家庭裁判所で取り扱う家事事件に関して、「子どもの手続代理人」という制度があります。これは手続きの中で子どもが自らの意見を表明することを弁護士がサポートする制度です。なお、ここで制度を利用することが想定される「子ども」とは、おおむね小学校高学年以上のことを指すようです。
この制度が利用できるは、離婚調停や面会交流調停など夫婦関係や親子関係に関する紛争になります。
その中でも、子どもの言動が対応者や場面によって変わってしまう事案や子どもの利益にかなう合意による解決を促すために、子どもが自ら提案をすることが有益と思われる事案などでの活用が期待されているようです。
子どもの手続代理人の選任方法は、子ども自身が弁護士会などに連絡をして自ら手続代理人を選任する方法と子どもが裁判手続きに参加をすることで裁判所が選任をする方法とが想定されます。
一方で、子どもの手続き代理人を選任したとして、弁護士報酬などは誰が負担するのかという問題があります。これは本来的には両親などの当事者が負担することが考えられますが、日本弁護士連合会の基金による報酬援助制度を利用できる場合もあります。
実はこの制度は、家事事件手続法の効力が生じた2013年からスタートした制度です。昨年共同親権制度の導入を含めた主に親子関係に関する民法改正が成立したことで再び注目を浴びることになりました。
これから先述の民法改正が効力を生じることになると、子どもが自ら意見を表明することで適切な紛争解決を図ることができる事案は増えていくように思われます。今後の動向に私自身注目していきたいと思います。
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法テラス江差 弁護士 樋口 直久