くらし 【特集】地域と暮らしを守る!蝦夷梅雨と防災

例年5月下旬から7月上旬にかけて北海道を訪れる「蝦夷梅雨」。本州の梅雨とは異なり、しとしとと降り続く雨というよりは、低気圧の通過に伴うまとまった雨や、日中の気温上昇による大気の状態の不安定化によって突発的な強い雨が降りやすいのが特徴です。この特集では、蝦夷梅雨の特性を理解し、いざというときに備えるための防災情報をお届けします。

■蝦夷梅雨の特性と本町の危険性
蝦夷梅雨は、本州の梅雨前線のような明確な停滞前線ではなく、オホーツク海高気圧の勢力や偏西風の蛇行など、複雑な気象条件によって引き起こされます。そのため、予測が難しい側面もありますが、次のような特徴が見られます。

◇集中豪雨の発生
短時間に局地的な強い雨が降ることがあり、河川の急な増水や、土砂災害を引き起こす可能性があります。上ノ国町は、天の川、石崎川など複数の河川が流れており、これらの河川の増水には特に注意が必要です。

☆上ノ国町では水害対策として、排水施設を設置しています。
天の川や石崎川の水位が上昇し、逆流が発生したときに、排水施設を使用して河川の氾濫を防いでいます。

右の写真は排水施設の内部で、天の川からオナミの沢川に逆流してきた水を施設内のポンプで吸い上げ、ホースから排水します。
※写真は本紙をご確認ください。

◇長雨による地盤の緩み
継続的に雨が降ることで、地盤が緩み、土砂災害の危険性が高まります。特に、前年の積雪による雪解け水が影響し、例年よりも地盤が緩んでいる可能性がある場所もあります。

■今からできる防災対策
(1)情報収集を習慣に!
ご自身の住んでいる場所が、洪水や土砂災害の危険区域に指定されていないか、必ず確認しましょう。上ノ国町のハザードマップは、町ホームページで閲覧できるほか、住民課窓口でも配布しています。また、気象庁ホームページで災害の危険度が一目でわかる「キキクル」を提供し、防災アプリなどで自動的に通知を受け取ることもできるので、ぜひご利用ください。

(2)自宅の安全対策を見直す!
屋根の点検:破損がないかなどを確認し、必要に応じて補修・清掃をしましょう。
側溝の清掃:敷地内の側溝に泥や落ち葉が溜まっていると、水の流れを妨げ、浸水の原因になります。定期的に清掃しましょう。
土のうの準備:浸水対策として、土のうを準備しておくことも有効です。家屋の入り口に設置することで、水害を予防・軽減することができます。

(3)避難経路と避難場所の確認!
家族で話し合い:災害時に家族が離れ離れになった場合の連絡方法や集合場所、避難経路などを事前に話し合っておきましょう。
避難場所の確認:避難場所を確認し、そこまでの経路を実際に歩いて確認してみましょう。危険な箇所がないか、夜間でも安全に移動できるかなどを確認することが重要です。

(4)非常用持ち出し品の準備!
持ち出し品を用意しておく:あらかじめリュックサックなどにまとめておきましょう。
〔最低限必要なもの〕
飲料水(3日分)、非常食(3日分)、携帯ラジオ、懐中電灯、モバイルバッテリー、現金、健康保険証のコピー、常備薬、着替え、タオル、軍手、ティッシュ、ウェットティッシュ、マスク、簡易トイレ、筆記用具、貴重品など。

■避難のタイミングと判断
危険を感じたら迷わず避難:夜間の避難は、視界が悪く足元も不安定なため、危険が伴います。明るい時間帯に避難することが原則です。
しかし、大雨や河川の増水、崖崩れの前兆(土砂の異音、ひび割れなど)を感じたら、躊躇(ちゅうちょ)なく避難しましょう。

日頃から近所の人とコミュニケーションを取り、いざというときに助け合える関係を築いておきましょう。