くらし イトウを守るために

猿払イトウの会は、猿払村商工会青年部が青年部創立30周年記念事業として行った「イトウの里づくり事業」(平成10年~平成17年)を継承する団体として、平成17年4月9日に設立されました。「イトウの保護と釣りの両立」「いつまでも天然のイトウが釣れる川を残そう」を目標に活動を続けており、会員は村民をはじめ北海道内、関東の方まで幅広く、職業も様々です。

■ローカルルールの制定と普及
イトウの会ではイトウ釣りのローカルルールの制定と普及を行っています。平成18年から猿払村の河川では一定の期間イトウ釣りの自粛をお願いし、イトウの保護と釣りの両立に取り組んでいます。当初イトウの産卵期間や産卵区間、夜間の釣り自粛をお願いしていましたが、令和3年にイトウの大量死が発生し産卵床が減少してからは、秋から越冬、春の産卵期終了後の体力回復までの期間を加えて、さらに近年の高気温、渇水を考慮し夏季期間も釣りの自粛をお願いしています。

■環境保全と調査活動
調査ではイトウの産卵の痕跡や産卵床を数え、その年の産卵数や生息数を推計し、孵化や稚魚の生息状況、河川や山林を含む生息環境の変化を確認するほか、河川に魚の遡上の障害になる場所が無いかの確認や障害の除去など環境改善を実施します。この活動はイトウだけではなくサケやマスなどの水産資源の保全にもつながります。

■教育と情報発信
教育活動としては、村内の小学校の総合学習のお手伝いや大学生を対象にイトウが住む環境を実際に観察し、村の産業や発展など様々な視点からの考えを発表してもらう環境研修を実施しています。そのほかにも、テレビや新聞の取材対応、ブログ等での情報発信、山林所有者や振興局など河川管理者と調査結果の共有、イトウ保護と森林施業や河川管理、治水対策などの両立に取り組むなど、イトウを育む環境の維持・改善につなげています。
これらの活動によって、現在イトウの産卵床の回復やサクラマスの産卵数増加などの成果も見え始めています。