その他 ー村長 森田のコラムー見る 聞く 思う

■目に見えぬもの
「心で見ないと、ものごとはよく見えない。肝心なことは、目に見えない」。サンテグジュペリ著「星の王子さま」(小島俊明訳)の一節です。3月の村議会定例会で、このことを再認識させられるやり取りがありました。

全国から応援資金を集めて民間事業者を支援する中札内村の地方創生策「ふるさと納税型クラウンドファンディング」(CF)に関する質疑。過去4回制度を活用する村内の観光施設「グランピングリゾート・フェーリエンドルフ」のプロジェクトで、村がどんな利益を得たかという趣旨でした。

最初の企画は低温の煙で食材を燻製する「冷燻工房建設」。新たな食の創出はメディア等に注目され、本村も高いPR効果を得ました。続く「温泉入浴施設の建設」では観光客を増やし、村内の高齢者等が安価に利用できることで福祉も充実しました。敷地内での「美しい森づくり」「ばん馬とのふれあい」は十勝らしい特別な観光コンテンツとなり、韓国との国際定期便就航が決まった今、大きな波及効果を期待できます。

しかし、本村にとっての最大の利益は、通常では繋がり得なかった多様な人脈とのご縁です。総合不動産業大手「オープンハウスグループ」の十勝への100億円の投資計画は、本村のCFがきっかけ。ホリエモンこと実業家の堀江貴文氏からも多額の支援がありました。彼らのような影響力を持つ人たちが多々関係人口となってくれた価値は、金銭換算できない貴重なものです。

これらの成果を実現したフェーリエンドルフ関係者の努力を含めて、村内で十分共有されていないことが村議会でのやり取りで分かり、村としての努力不足を猛省しました。まちづくりの肝心な部分は目に見えない。このことを肝に銘じ、新年度もさらに丁寧な情報発信・共有に努める所存です。

冒頭の言葉は王子さまと友だちになったキツネがお別れのプレゼントに贈ったもの。目に見えぬ肝心なことが伝わるよう意を配してまいります