文化 あしょろ自然誌 Vol.57

■キタスナヤツメ
一見するとウナギやドジョウに似ていますが、胸びれや腹びれがなく、鰓孔(さいこう)が7対あり、顎のない丸い吸盤のような口をしているなど、一般的な魚とは異なる形態をしています。近縁であるカワヤツメは川と海を往き来しますが、キタスナヤツメは一生を淡水で過ごします。卵から孵った幼生(アンモシーテス)には歯がなく、目は皮膚で覆われていて、砂泥底の中で藻類や有機物などを食べて育ちます。3~4年後の秋に20cmほどに成長した幼生は変態し、目が現れ歯も生え成体となります。成体になると何も食べず、翌春には産卵して死んでしまいます。演習林内の河川では5月頃に産卵のために集まっている様子を見かけることがあります。
もともとスナヤツメとされていた種が、滋賀以北に分布するキタスナヤツメ、北海道を除く日本と朝鮮半島に分布するミナミスナヤツメ、北海道の一部地域に分布するウチワスナヤツメの3種に分かれることが、2024年発表の論文で明らかにされました。

詳細:九州大学北海道演習林(南木大祐・田代直明)
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