くらし 町長コラム No.24

■浦幌町長 井上亨

6月某日。東京出張中、電車に揺られ車窓からの景色を眺めていると狭いグラウンドのある学校が視界に。
マンションと住宅に囲まれていて居心地の悪い配置。
これを見て先日行われたばかりの浦幌中学校の体育祭を思い出したのです。
最初に上浦幌学園の合同運動会を見て、途中、上田教育長と交代し浦幌中へ移動。
少し肌寒いものの、広いグラウンドでのびのびと競技に臨む浦中生。
来賓と談笑しながらのんびり観戦していたら、思いがけず感動の場面に遭遇したのです。
それは最終種目の全校リレーでした。3チームによるめまぐるしい順位の入れ替えがあり熱戦が繰り広げられるのです。
先生の実況中継も見事で、選手の名前がアナウンスされるたびに誰のお子様か想像がつくというのも浦幌らしいところ。選手・観客ともに盛り上がる中、バトンはアンカーに渡りました。
1位はやや差がつき、残るのは2位争い。しかし最終コーナーを曲がったところで1人の選手が転んでしまったのです。
あ~これで決まりかと思いきや、目を疑う光景が。なんと競り合っていたもう1人の選手がスピードを緩め、転んだ選手に駆け寄り立ち上がったのを見て再び仕切り直して一緒に走り出したのです。
勝負は大事かもしれません。しかし、仲間の無事を優先する‶友情‶に勝るものなどないでしょう。
言葉だけではないスポーツマンシップを目の当たりにし、応援する父兄からも称賛の拍手が送られました。
私も思わず感動し目頭が熱くなってしまいます。そして、こんな素晴らしい生徒がいる町の町長であることに誇りを感じたのです。
そんな思いにふけりつつ、電車内を見渡すとスマホを見ながら下を向く大勢の人たち。人付き合いのない数字だけの人口増加をしている東京の縮図に思えます。
だとしたら、豊かな自然の中、たくましく育つ子どもがいる浦幌の方が断然良い町だなと電車に揺られながら一人悦に入るのです。