くらし 町長コラム No.28

■浦幌町長 井上亨

地面を叩きつける豪雨、大木をもへし折ってしまう強い風。
9月21日未明に本町含む道東一帯において北海道初となる線状降水帯が発生しました。
24時間雨量が本町の観測史上初となる167ミリを記録。この線状降水帯の発生により町内各地に深い爪痕を残したのです。
市街地では浸水被害が発生し、厚内橋では上流から流木が押し寄せ橋脚が傾くというまさに未曽有の事態。
また、収穫を終え運搬を待つだけの状態だった馬鈴薯は雨水の勢いに押され土場から流されてしまいました。
道路も各所で損傷が見られ、厚内街道はいまだに通行止めが続いています。
かつて線状降水帯は九州や西日本で発生しやすいと言われており、まさか本町にその脅威が及ぶとは夢にも思っていませんでした。
そもそも線状降水帯発生は複数の積乱雲が同じ地点に留まることによって形成される雨雲です。その要因となるのが大気中の水蒸気量が増えること。特に海水温の上昇が雨雲の成長を助けやすく、近年の太平洋沿岸の海水温の高さを考えれば不思議ではなかったかもしれません。
ロシア・カムチャッカ地震による津波警報の際もそうでしたが、今回もまた災害発生に伴う気づきや改善すべき点が様々な形で露見しました。
地震、津波だけでなく短時間での大雨も、海抜の低い本町にとっては脅威となる災害であることを行政はじめ町民の皆さんも改めて感じたことと思います。
こうした災害の要因が地球温暖化によるものだとすると、これからも発生するであろう災害に対しできることは「備え」しかありません。
~偶然は準備のできていない人を助けない~ ルイ・パスツール
避難場所の確認、災害備蓄セットの用意、様々な災害を想定した訓練など平時における事前の備えが今まさに必要です。
この度の災害により被災された皆様に対し心からお見舞い申し上げますとともに、行政としても早期復旧に向けて進めてまいります。