文化 〔特集1〕棟方志功 没後50年

2025年9月13日は、青森市出身で市名誉市民の版画家・棟方志功の没後50年の命日に当たります。この節目を記念した展覧会やイベントを紹介するとともに、青森で大志を抱き、世界的アーティストとなった棟方の軌跡を振り返ります。

■略歴
1903年 9月5日、青森市に生まれる
1924年 絵の修業のため上京
1928年 第9回帝展に油絵で初入選。この頃版画を始める
1930年 赤城チヤと結婚
1945年 富山県福光町(現南砺市)に疎開
1951年 東京都杉並区荻窪に転居
1955年 第3回サンパウロ・ビエンナーレで版画部門最高賞を受賞
1956年 第28回ベネチア・ビエンナーレで国際版画大賞を受賞
1969年 青森市名誉市民第1号に
1970年 県人初の文化勲章を受章
1975年 9月13日、東京都内で死去

◇「ゴッホになる」と大志抱き上京
青森市の鍛冶職人の家に生まれた棟方は、市内の裁判所の弁護士控所で働く傍ら、好きな絵を描いていた17~18歳のころ、知人に見せてもらった雑誌に載っていたゴッホの油彩画「ひまわり」に感動し、「ゴッホになる」という大志を抱きました。

◇油絵に続き版画にも取り組む
絵を本格的に学ぼうと21歳で上京し、二十代半ばには油絵で「帝展」初入選を果たしました。その頃、版画にも本格的に取り組みだし、作品を次々と発表しました。昭和13(1938)年の「第2回新文展」で、官展の版画部門としては初の特選に選ばれました。

◇「二菩薩釈迦十大弟子」などで海外最高賞
昭和14(1939)年、後に棟方の代表作として真っ先に挙げられることになる木版画「二菩薩釈迦十大弟子(にぼさつしゃかじゅうだいでし)」を制作しました。この作品は15年の第15回国画会展に出品、翌年に「佐分(さぶり)賞」を受賞したほか、太平洋戦争終戦後には他の作品とともに海外の大規模展覧会にも出品する機会を得て、サンパウロ・ビエンナーレで版画部門最高賞、ベネチア・ビエンナーレでは国際版画大賞に輝きました。棟方は自らの木版画を「板画」と名付けました。このほか、自ら「倭画(やまとが)」と呼んだ肉筆画でも、多数の作品を残しました。

◇名誉市民第1号、県人初の文化勲章
様々な功績が評価され、昭和44(1969)年、青森市名誉市民第1号となりました。翌45年には、青森県人として初めての文化勲章を受章しました。

◇愛した故郷に眠る
ねぶた、八甲田、津軽民謡、津軽海峡など青森県にちなんだ作品も数多く創作するなど、郷土愛あふれる人でもありました。生前、青森ねぶた祭など県内の祭りに参加することも多く、市民、県民らと交流を深めました。死去後は、こよなく愛した故郷にある三内霊園に眠っています。

■没後50年を記念した展覧会を開催中!関連した様々な催しも行われています
◆青森県立美術館 コレクション展2025-2
『棟方志功 没後50年記念展 青森の子 世界のムナカタ』

・2025年7月19日(土)~11月3日(月・祝)
開館時間:9:30~17:00(入館は16:30まで)
会場:青森県立美術館

青森市に生まれた棟方は、日本の伝統を踏まえた題材や装飾的な表現で世界的に活躍し「世界のムナカタ」として広く知られるようになりました。一方、青森の自然、ねぶたといった故郷の風物を題材にした作品に象徴されるように、人一倍強い郷土愛の持ち主でした。開催中の記念展では、市内各所が所蔵する通常一般公開していない作品などをとおして、ふるさと青森の魅力をたっぷりお伝えします。

▽(7/19)オープニングセレモニー
7月19日(土)、市長、議長のほか、棟方志功画伯のお孫さんであり、棟方志功研究家の石井頼子さんなどをお招きしてオープニングセレモニーが行われました。

▽(7/20)君も未来のムナカタだ! 棟方志功流「板画」ワークショップ
棟方志功研究家の石井頼子さんを講師にお迎えし、下絵→彫り→摺り→裏彩色→捺印→額入れまでを2時間で体験しました。小学生から一般の約50名の方々にご参加いただきました。使うのは丸刀一本だけ、彩色筆一本だけ、棟方好みの顔彩8色は混ぜずに使用するなど、棟方流の「板画」制作体験を楽しんでいただきました。

▽(7/23~8/4)「中学生鑑賞サポーター」ボランティア体験を実施
市内の中学校9校から53人の生徒が参加し、棟方志功没後50年記念展において、ボランティア体験を実施しました。来館されたお客様に対して、「志功さんの丸めがね」と「鑑賞ワークシート」を配付したほか、ワークシートを活用した作品鑑賞のサポート(ギャラリートーク)を行いました。最初は緊張し、上手く会話をすることができませんでしたが、仲間と協力しながら、経験を重ねることで、お客様と一緒に笑顔が広がりました。

▽(9/7)棟方志功没後50年記念 棟方志功サミットin青森
棟方志功画伯ゆかりの地の首長が集い、画伯の魅力、文化芸術資源を活用した観光振興やまちづくりの未来についてなど、意見を交わします。ぜひお越しください。

日時:9/7(日) 9:30~12:00(9:00~ 受付開始)
場所:県立美術館シアター
人員:100名(当日先着順)
料金:無料
プログラム:
・9:30~9:40…開会
・9:40~10:10…市内中学校による合唱
・10:20~10:50…トークセッション「文化芸術と教育」
・11:00~11:45…参加自治体発表「文化又は経済振興に向けた取組」
・11:45~12:00…共同宣言
※当イベントは、宝くじの社会貢献広報事業として助成を受け開催されるものです。

▽(9/20、10/18)学芸員によるギャラリートーク
期間中は棟方志功記念館学芸員が見どころを解説するギャラリートークも実施しています。

日時:9/20(土)、10/18(土) 各日1回 13:00~(1時間程度)
料金:無料
※ただし、コレクション展チケットが必要です。
申込み:不要
(当日青森県立美術館地下2階エレベーターホールにお集まりください。)

■西秀記市長メッセージ
◇棟方志功没後50年 青森から世界へ
棟方志功没後50年を記念し、青森県立美術館で「青森の子 世界のムナカタ」展を開催中。併せて多彩な関連催事も実施し、郷土が生んだ世界的版画家の魅力を余すところなく紹介します。

この記事の問い合わせ:文化学習活動推進課
【電話】017-718-1432