- 発行日 :
- 自治体名 : 岩手県住田町
- 広報紙名 : 広報すみた 令和7年9月号
全国で増え続ける野生鳥獣による農作物の被害。本町も例外ではありません。鳥獣による被害は、農家の営農意欲の低下を招く非常に深刻な問題です。
また、近年では県内でもツキノワグマによる人身被害が多発しており、県ではツキノワグマによる人身被害未然防止のため、今年4月18日から全県域に「ツキノワグマ出没に関する注意報」を発令しています。
今年はツキノワグマのエサとなるブナの実が全国的に大凶作と推測されており、冬眠前には食べ物を求めて人里へ出没することも考えられ、注意が必要です。
そこで本号では、鳥獣被害の状況と、地域での鳥獣被害防止対策についてお伝えします。
■野生鳥獣による町内の農作物被害の概要
令和6年度の野生鳥獣による町内の農業被害額は、野菜やいも類などへの被害を中心に、916万円となりました。
このうち、シカ・イノシシ・サルによる被害が全体の約8割を占めていますが、全体の被害額は昨年度からは107万円減少しました。
ただし、鳥獣種別に見るとシカ(被害額251万円、対前年度+28万円)、イノシシ(被害額305万円、対前年度+36万円)による被害は、昨年度から増加しています。
○図(1) 鳥獣による農業被害額(万円)
○図(2) 鳥獣別農業被害額(万円)
■効果的な被害防止策
野生鳥獣を人の生活圏に寄せ付けないために、次のような対策が効果的です。
○環境整備
・廃棄野菜や生ごみ、コンポストの管理を適切に行う。
・農地周辺のやぶを刈り払い、見通しの良い環境を整備する。
・電気柵を設置し、鳥獣を寄せ付けない対策をする。
・庭先果樹は適期を迎えたら速やかに収穫する。
・野生の鳥獣が侵入できる納屋に果物、穀物、ペットフードなどを保管しない。
○電気柵の設置・管理
・ワイヤーは、獣種に応じた高さで設置する。(シカ:30・60・90・120センチ、クマ:20・40・70センチ)
・高さが一定になるよう、ワイヤーは張力を持たせピンと張る。
・パワーユニットのアース線は深く設置する。(土質によっては複数本必要な場合もある)
・草刈り機や除草剤によって下草を管理し、漏電箇所の発生を防ぐ。
・定期的な見回りを行い、必要に応じて補強・修繕を行う。
■町の取り組みと支援
○動物位置情報システム
特定のニホンザルにGPS発信器を装着し、その行動を確認しています。
町内全域で群れの行動範囲や個体数の増減などの動向を調査士ながら、鳥獣対策を検討していきます。
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※二次元コードは本紙をご覧ください。
○鳥獣害緊急対策事業費補助金
農林業振興会などの団体が緊急的に行う鳥獣害対策設備の設置に必要な経費の一部を、予算の範囲内で補助するものです。
シカ防護網や電気柵の設置・修繕に必要な経費が対象になるほか、放任果樹の伐採にかかる経費も対象になります。
■緊急銃猟制度について
鳥獣保護管理法の改正により、今年9月1日から、人の日常生活圏にクマやイノシシなどの危険鳥獣が出没した場合、次の4つの条件をすべて満たすことで市町村長の判断で銃猟が可能となりました。
(1)危険鳥獣が人の日常生活圏へ侵入した場合
(2)危険鳥獣による人への危害を防止するために緊急措置が必要な場合
(3)銃猟以外の方法では捕獲ができない場合
(4)銃猟によって人の生命・身体に危害がおよぶ恐れがない場合
※緊急銃猟を実施する際は、銃猟を実施する地域の方に、通行禁止・制限の厳守、屋内避難または屋外避難をお願いする場合があります。
近年、ツキノワグマの人里への出没がニュースなどで多く取り上げられています。本町においても、令和5年度に58件の出没を確認したほか、本年、人身被害も発生したところです。
そういった状況ではありますが、本改正に伴い、危険鳥獣が出没した際、必ず緊急銃猟をもって対応するということではありません。現場の状況などを確認し、従来の「花火などによる追い払い」や「罠による捕獲」など、適切な方法により対応します。
住民の皆さまのご理解をお願いします。
■狩猟免許試験について
県では、鳥獣の捕獲に必要な狩猟免許の取得試験を開催します。
なお、受験料は免許1種類につき5200円です。
詳しくは大船渡保健福祉環境センター(【電話】27-9814)まで。
○狩猟免許試験
日時:12月7日(日)9時~17時
場所:岩手県立大学 (滝沢市巣子152-52)
申込期間:10月22日(水)~11月5日(水)
試験区分:わな猟免許、第一種銃猟免許、第二種銃猟免許
※試験に係る予備講習会を11月22、23日(土・日)に同会場で開催します。詳しくは、(公社)岩手県猟友会(【電話】019-622-2358)まで。
○狩猟免許等取得補助金
町では、狩猟免許を新規に取得された方に対し、補助金を交付しています。
詳しくは役場林政課まで。
補助内容:免許の取得、猟銃所持許可、狩猟者登録、猟銃などの購入に係る経費
問合せ:
農政商工課 農政係【電話】46-3861
林政課 林政係【電話】46-3868