くらし 軽米の輝き人 vol.54

■「人命救助が第一」新団長が見据える消防団のこれから
軽米町消防団団長
山野下 信夫
YAMANOSHITA NOBUO

令和7年4月、軽米町消防団の新団長に就任した山野下信夫(のぶお)さん。消防団に入団して約46年、地域の安全を守り続けてきた経験を生かし、団長としての責務を担うことを決めた。「責任ある役職を頂き、身の引き締まる思い。歴代団長の思いを引き継ぎ、少しでも前へ進めたい」と語る。
団長として初めて臨んだ9月14日の消防演習。朝方の雨に心配もあったが、訓練が始まる頃には晴れ間が広がり、「無事に終えられてほっとした」と胸をなで下ろした。どんな状況にも負けない団員たちの勇姿には、大きな頼もしさを感じたという。
山野下団長が消防団に入ったのは20歳を過ぎた頃。先輩に誘われたのがきっかけだった。印象に残る出来事に、町の操法競技大会小型ポンプの部での優勝と支部大会出場を挙げる。「緊張しながらも全力で臨み、貴重な経験となった」と当時を振り返る。
町消防団の現状については、団員数の減少が大きな課題だ。「自分が若い頃は定員いっぱいだったが、今は半分ほど。若い人にもっと入ってもらいたい」と思いは強い。現在は個人装備の支給や補償制度も充実するなど、環境の充実にも力を注ぐ。
今後は、「高齢化や空き家の増加に伴い、地域の見回りや防災活動がますます重要になる」と気を引き締める。また、迅速な初期消火を目的とした「機能別消防団」にも意欲を見せる。「何より大切なのは人命救助。『任せて安心』と町民に思ってもらえる団でありたい」。その力強い言葉に、地域の未来を支える決意がにじむ。