- 発行日 :
- 自治体名 : 宮城県角田市
- 広報紙名 : 広報かくだ 令和7年4月号
皆さんのご質問にお答えします。
今回は、ちょっと難しい話題に挑戦です。
Q.ブラックホールはどれほど強力なの?
ブラックホールについて考えましょう。ブラックホールは大きな星の最後の姿ですが、我々の太陽はこの後どうなるか、というところから始めます。太陽の寿命はあと50億年といわれています。
太陽が輝いているのは水素を燃料とした核融合によるものですが、寿命が近づくと、燃料の水素が少なくなって、表面の温度が下がって赤くなるのに従って膨張し、今の200倍くらいの大きさになります(=赤色巨星)。太陽は、地球をのみ込むくらいまで膨張しながら表面からガスを吹き出し、最後には中心核の部分だけが残ります。これは、いわば「星のなごり」で、密度は高いが、小さくて、余熱で光っている白色矮星(わいせい)になります。これで太陽の一生は終了。
でも、星の大きさが太陽の30倍以上あると、人生(星生?)が変わってきます。水素エネルギーが少なくなって膨張するところまでは一緒ですが、その結果、赤色超巨星になって、ひときわ明るく輝く大爆発を起こします。これを超新星爆発と言って、ガスが飛び散り、その雲の中から、新しい星の卵が誕生します。同時に、中心部の密度が非常に大きいところはブラックホールになります。重力が非常に大きいので、光も出られなくなり、外から見ることはできません。ブラックホールの強力さは、例えば月と地球の間では、お互いの重力で地球の潮の満ち引きが起こりますが、ブラックホールでは、この潮の満ち引きの原理で、周りの星を粉々に砕いてしてしまうほどの力があるといわれています。そのかけらも吸収して、ますますブラックホールは巨大になっていきます。
少し前にブラックホールの姿を撮影した、というニュースがありましたが、この写真は、中心が巨大重力のブラックホールで真っ黒、この重力の断崖絶壁に入る直前のガスがリング状に光っているところをとらえたものです。世界中が協力してとらえたブラックホールの姿は今の科学力の象徴のようなものですね。もっともっと未知の世界を我々も見てみたいと思いませんか。
JAXA角田宇宙センター 吉田 誠