- 発行日 :
- 自治体名 : 宮城県七ヶ浜町
- 広報紙名 : 広報しちがはま 令和7年5月号
■四季折々にやりがい
我妻卓郎(わがつま たくろう)さん(要)
農業
JA仙台理事、町農業委員会委員
農家を継いで20年くらいになりますが、今もベテランの皆さんに、田植えから稲刈りまで、栽培のコツをいろいろと教えていただいています。
七ヶ浜の農家の皆さんは、農業にプライドを持ち、団結力があり、人間関係もいいですね。七ヶ浜の田んぼが、効率化のための大区画化が進んだことも、七ヶ浜産の米が何年も100%一等米であることも、その表れだと思います。
昔はゴールデンウィーク頃が田植えの時期でしたが、今は、温暖化の影響で稲の花が咲く時期をなるべく夏の暑さから外れるよう、時期を遅らせて5月末ぐらいから植え始めています。
七ヶ浜の農家では、川がない分、沼やため池から田んぼに水を引いています。田植え直後に水を張り続けると苗が成長しすぎて米の品質を下げる原因になります。暑すぎる時には、水を流し続けないと水温はどんどん上がり、米の乳白色化につながります。海抜1mもないような低い田んぼでは、満潮の時に海水が水路を逆流するときもあります。
水は、稲の成長に大きく影響するため、調節の見極めとそのあんばいが大切なんです。
また、七ヶ浜では、まめに草刈りをすることで、天敵のカメムシの発生を抑えています。七ヶ浜産の米が100%一等米なのは、こうして、皆さんが一つ一つこだわって丁寧に取り組んでいるからなんです。
◇日本一のおにぎりを発信できたら
農業は作業するごとに、その成果が目に見えるので達成感を感じますね。
田植えを終えた時の青々とした田んぼの風景や秋に稲穂が風に揺られているのを見ると、安心しますね。草刈りだって大変だけれど、刈った後は気持ちいいし、やりがいにつながります。
単純ですけど、それがわかりやすい。四季折々にやりがいを感じるのも農業の魅力です。野菜の栽培もですが、自分で植えて、育てて、食べるまでのいろいろなストーリーがあり、美味しさもひとしおになります。
しかし、町の農業の未来を考えると不安もあります。今、農事組合法人のファーム七ヶ浜に若い人が二人いますが、このままだと、いずれ今の若い人たちで七ヶ浜の田んぼを守ることになるのかなと話したりしています。もっと若い人に入ってほしいですね。
JA仙台の中でも100%一等米を作っているのは七ヶ浜だけです。去年の作況指数、米の取れた割合が全国で一番だったのが宮城県です。ということは手前味噌ですが、七ヶ浜は、田んぼ当たりの作る米の量も品質も日本一です。
七ヶ浜の皇室献上の海苔と七ヶ浜の一等米でおにぎりをつくり、ふるさと納税返礼品「日本一のおにぎり」として発信することが目標です。