くらし 令和7年第1回大仙市議会臨時会 所信表明演説(2)

1 地元商工業の振興と企業誘致の推進
商工業をはじめとする産業の振興は、地域経済を活性化させ、雇用と所得をもたらし、若者の定住や結婚、出産の希望の実現につながる本市発展の要です。
商工業の振興については、国の交付金を有効に活用しながら、現下の物価高騰や資源、エネルギー価格の高止まりの影響を受け、厳しい事業環境にある事業者の皆さまを下支えしつつ、DX、GXなどの世界的な潮流への対応に加え、若者や女性をはじめ、誰もが働きやすい職場づくり、子育てと仕事が両立しやすい環境の整備、健康経営による人への投資など、自社の持続可能性を高め、さらなる成長に向けて積極的に取り組む事業者の皆さまを支援していきます。
企業誘致の推進については、これまで進めてきた大曲企業団地整備事業の全工程が完了しており、地政学リスクの高まりや人手不足を背景に高まる地方への立地需要など、企業の動向を的確に把握するとともに、多様な専門高校が集積する強みや本市の充実した支援制度、アクセスの優位性などを効果的にPRしながら、あらゆる機会を捉えて企業誘致を推進していきます。
あわせて、情報関連産業を中心とした若者の就職ニーズにマッチするサテライトオフィスの誘致や、地域の課題や活性化を起点としたスタートアップへの幅広い支援にも取り組み、若者が希望するライフデザインを描くことができる雇用の創出に取り組んでいきます。

2 「力強いだいせん農業」の実現
本市の農業は、古くから人々の暮らしを支え、地域の文化を育み、まちの基礎を築いてきた重要な産業であり、日本有数の食料供給地帯を有する本市の基幹産業として、農業を守り、育み、そして未来につなげるための施策に引き続き力を入れていきます。
「食料・農業・農村基本法」が四半世紀ぶりに改正され、4月には、新たな指針となる「食料・農業・農村基本計画」が策定されるなど、我が国の農業政策は大きな転換期を迎えると同時に、世界的な食糧需要の高まりなどを背景に、農業の成長産業化が期待されます。
こうした変化を追い風に、本市の農業や農村を取り巻く環境の変化や、国や県の動向を注視しながら、「第5次大仙市農業振興計画」の策定を進めるとともに、国内有数の米どころであり、県内随一の大豆産地である強みを生かしたブランド戦略を展開するほか、「新規就農者研修施設活性化プラン」を策定し、地域の核となる若い担い手の確保・育成に向け、研修設備やカリキュラムの充実に取り組んでいきます。
また、ほ場整備による農業生産基盤の整備と農地集積の加速化を図りながら、スマート農業の普及や6次産業化も促進し、「稼げる持続可能なだいせん農業モデル」の創出につなげていきます。
このほか、歴史ある鮭文化の確実な継承を図るため、市営水産ふ化場改築事業の着実な推進と人材育成、ふるさと教育の充実に努めるとともに、畜産経営体の経営基盤強化、森林資源の循環利用の促進や林業人材の確保・育成に向けた取り組みを支援していきます。

3 出産・子育て・教育環境のさらなる充実
出産・子育て支援については、子育て世帯の経済的な負担の軽減に主眼をおいた「子育て支援1・0」、こどもの健やかな成長と子育てしやすい環境の充実に焦点をあてた「子育て支援2・0」から、「若年女性の定住促進」と「出会い・結婚の希望の実現」を大きな柱の一つに据える「子育て支援3・0」にシフトアップし、さらに力を入れていきます。
「こどもまんなか社会」の実現に向けた「大仙市こども計画」のもと、こどもや若者の声を伺いながら、地域全体で「こどもや子育て世帯に寄り添い、子育てに優しいまちづくり」を進めていきます。出産祝い金や18歳までの医療費無償化、保育料の完全無償化などの経済的支援に加え、産前・産後ケアの充実やこども・子育て分野のDX推進、企業とも連携した「仕事と子育ての両立」のさらなる後押し、「子育てに優しいまち」を象徴する屋内遊び場施設の着実な整備など、子育て環境のさらなる充実を図っていきます。
また、子どもたちのより良い成長と学びの環境の実現を最優先に、学校再編計画を着実に進めるとともに、個別最適な学びを実現するGIGAスクール構想のさらなる推進、地域への愛着と参画意識を育むふるさと教育やグローバル人材の育成など、本市の特色をなす教育活動を推進していきます。
学校給食費の無償化については、国において、令和8年度の小学校での開始を念頭に検討が進められていますが、市としては、物価高騰による影響を考慮し、可能な限り速やかに実現したいと思っており、まずは教育費の負担が大きい中学校を対象に、今年度から無償にしたいと考えています。
さらに、働き方やライフスタイルが多様化する中、ライフデザインを考える機会の創出やプレコンセプションケアの推進に取り組むとともに、出会いの場や結婚に対するニーズや意識の変化にあわせ、より多様な交流や出会いの機会を創出するほか、新婚生活にかかる経済的負担の軽減を通じ、結婚を希望する皆さまを応援していきます。

4 保健・医療・福祉のさらなる充実
人生100年時代に突入した今、SDGsの目標の一つである「すべての人が健康と福祉を享受できる社会づくり」に取り組む意義は一層高まっており、市民の皆さま一人一人が健康で、地域の支え合いのもと、住み慣れた地域で安心して暮らせる社会づくりを進めていきます。
その柱となる「健幸まちづくりプロジェクト」については、普及・活動の促進から横展開・データ活用に軸足を移し、ポイントプログラムの一部デジタル化を皮切りに「健幸まちづくり2・0」を起動し、「日本一健康なまち」に向け、さらに積極的に展開していきます。
また、予防医療の観点から、各種健康診査や検診、予防接種事業の充実を図りながら、市民の皆さま一人一人の主体的な健康づくりを促進するとともに、国の「高齢社会対策大綱」のもと、年齢に関わりなく、希望する誰もが就労することができ、健康状態にあわせて活躍できる社会の形成を進めていきます。
その基盤として、すべての世代の皆さまが安心できる地域医療体制や、「『つながる・ささえる』ネットワーク整備事業」の推進、「地域包括ケアシステム」のさらなる充実、地域の見守り体制や災害時避難支援体制の強化を図るとともに、買い物や移動に対する支援をはじめ、高齢者の皆さまの暮らしや健康を支える各種支援制度が、より利用しやすいものとなるよう、見直しを図っていきます。