しごと 職員日記抄 今月は産業課

◆井川町の水道風景
4月より産業課環境整備班に配属され、上水道業務を担当することになりました、今戸町内出身の遠藤です。皆さんの生活に欠かせない水を安定して供給できるよう、誠心誠意努めてまいります。昨年の井川町広報8月号では、井川町の水道の歴史や水道施設について紹介しました。井川ダム、田代沢、大又沢から取水し、緩速ろ過と呼ばれる方法で水道水を作っていること、設備の老朽化が進んでいること、そして限りある水を大切に使うことについてお伝えしました。
2年前の3月、私は山登りを趣味とする同僚職員とともに、水源地の一つがある大又沢林道の終点まで歩いて行ってみようとしたことがありました。井川で生まれ育ち、一度は奥地まで足を運んでみたいという思いがあったこと、町史の写真でしか見たことのない金壺(かなつぼ)の滝をこの目で確かめたかったことがきっかけでした。
大台町内の防災センターに車を停め、ハイキングを開始。井川ダム、ふるさとCM大賞で取り上げられた大蔵又滝、にわとりのとさかの様に見える事から名づけられたとたか岩、水源地直下に広がる巨岩群とその隙間を流れる美しく迫力のある水の流れを目にしながら進みました。そしてついに見つけた金壺の滝。一見すると見逃してしまいそうでしたが、町史で見た写真そのままの滝がそこにありました。
さらに先へ進むと、再び巨大な一枚岩であるそぞけ岩が現れ、皇太子御成婚記念植樹と記された木柱も確認できました。しかし、その頃には道の荒廃が進み、終点が近いことを感じながらも、暗くなる前に引き返す決断をしました。その途中、町史で黒滝と呼ばれる滝の存在を知っていたのですが、目の前に高さのある5段以上の滝を見つけ、黒滝はこれのことではないかと思いました。雪解け時期限定で見られる滝かもしれません。
往復約12kmのハイキングを通じて、私は井川町が誇る豊かな自然に改めて感動するとともに、山奥へ道を切り拓き水道を通した先人たちの努力に対し、深い敬意を抱きました。当たり前のように蛇口をひねれば出てくる水。これまで使う側だった私ですが、これからは守る側の一人として、誇りと敬意を胸に業務に励んでまいります。

文:遠藤