健康 お口からめざす健康長寿コーナー

『お口の健康と認知症の関係』について
ジュネスデンタルクリニック 小菅 一弘先生 監修
高齢になると、認知症になる割合が増えてくることは広く知られています。最近の研究で、お口の健康と認知症という病気の間には深い関係があることが分かってきました。
ある研究によると、歯が20本以上残っている人は認知症になりにくい傾向があるということが分かりました。また、歯がほとんどないのに入れ歯を使用していない人は、使用している人に比べて認知症発症のリスクが約1.9倍高くなることが分かっています。認知症予防のためにも、若いうちから自分の歯を守ることが大切です。
『今のところ、痛いところもないし、歯も20本以上あるし、気になるところもないから、まぁ、いいかな?』と思っていても安心はできません。初期症状に乏しい、静かなる病である歯周病に、すでにかかっているかもしれません。歯を磨いたときに出血するような場合、歯周病菌が血流を通じて体の中に入り込んでいる可能性があり、全身の健康に影響を及ぼすことも知られています。特に、アルツハイマー型認知症の発症に関わる可能性がある菌もいると言われています。認知症ばかりではなく心筋梗塞、脳梗塞の原因にもなり、脳血管性認知症を起こす原因にもなります。
認知症は、早期発見、早期治療で病気の進行を遅くすることも可能です。その予防法のひとつが、お口の健康を守ることであるということを是非覚えておいて下さい。日々の歯の手入れを忘れずに、今ある歯を大切にし、健全な奥歯でかみしめられる人生を歩んでください。これが、歯科からの認知症予防です。
繰り返しになりますが、奥歯がなくなったら入れ歯を入れることで、予防効果があることも忘れないでください。『入れ歯は食べるときだけ使う。』そんなことだと、きっと後悔することになります。入れ歯は、食べるためだけの道具ではありません。