くらし 町長歳時記 (221)
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- 発行日 :
- 自治体名 : 山形県朝日町
- 広報紙名 : 広報あさひまち 令和7年8月号
■命をつなぐ
~親から子へ、子から孫へ 引き継がれる「命」~
予定日より二週間ほど早く、娘に長男が授かりました。産休で実家に戻っていた娘が、夜半に体調の変化に気づき、病院に電話して、「すぐ来るように」との指示の下、妻と末娘と三人で病院に向かいました。本人はすぐ戻されるだろうと思いながらも、入院用具も持参してのことでありました。
病院に着き、そのまま入院の報を受け、それでもまだ先の話ではないかと思っていた私の元に、朝7時過ぎ、「母子ともに元気で、無事男の赤ちゃんが生まれました」と、父親になったばかりの娘の夫から喜びの知らせが入りました。
同じように、この身に生を受け、日々暮らしの中で生き続けている私の「生」は、その定められた私の寿命を一秒たりとも私自身の力によって長らえさせることも縮めることもできません。定められた寿命を全うするのが人間であり、すべての生きとし生けるものも、またそうなのではないかと思うのです。生きているものは必ず死を迎えます。これは万人が等しく認める事実です。しかし現代を生きる私たちは、なるべく「死」に触れない、近づかない、そんな生き方を知らず知らずのうちに行ってきたのではないでしょうか。
終わりある命も、また新たに生まれ出ずる命も深い所で繋(つな)がっていて、世界が回っているのかもしれません。
一人の力では如何(いかん)ともし難い事柄であっても、世代を超え、世代を跨(また)いでいったその先には、真に望まれる世界が必ず実現していくものと確信しております。
世界平和のために、今を生きる私たちが、しっかりと命の尊厳を見極め、命の大切さを共有していったならば、必ずや、この思いが引き継がれ、「命をつなぐ」ことの本当の意味を分かち合うことができる人間社会に到達していくものと思います。
朝日町長 鈴木浩幸