くらし 【特集】守人(3)

■深刻な被害状況
◆町民の皆さんの声 ※令和7年11月20日時点(町内)
○長野地区 男性
イノシシに田んぼや畑を掘り起こされ、大きな被害が出た。夜間、田んぼの見回りに行くが、クマの出没も増えているためとても怖い。自主的な対策では限界があり、猟友会の方々にアドバイスをもらいながら対策を行っている。

○荒屋地区 女性
地区の人が獣に畑や柿の木を荒らされた。町内どこにでもクマが出没するので朝夕の活動に支障をきたしている。猟友会の方々が日頃から見回りをしてくれているので、大変ありがたく、心強く思っている。

◆Data1
○町内鳥獣捕獲頭数
クマ…46頭
イノシシ…37頭
カラス…4羽
カワウ…2羽
サギ類…27羽

◆Data2
○町内鳥獣被害件数
・田畑の食害…20件
・果樹の食害…栗10件、柿2件、クルミ1件
・追突事故…クマ2件、シカ2件
・フン害…2件

◆Data3
○過去との比較
・平成28年のクマ目撃件数…8頭
・令和7年のクマ目撃件数…63頭
9年前との比較…約7.9倍

・平成28年のクマ捕獲数…2頭
・令和7年のクマ捕獲数…46頭
9年前との比較…約18倍

県全体のクマ目撃件数は10ヶ月で1,906件 ※令和7年度

■人員不足が浮き彫りに 猟友会が直面する大きな課題
金山猟友会は、現在いくつかの大きな課題に直面しています。最大の課題は新規会員の不足と会員の高齢化です。正規会員は令和7年11月20日時点で18名いるものの、見回りやクマ出没時の対応、罠の設置といった現場作業の担い手は実質3名程度。罠の設置には最低4名は必要ですが、実動人員の不足は深刻で持続的な活動が厳しい状況にあります。猟友会の会員からは「人手不足のため活動には限界がある。町民の皆さんの要望を叶えきれず心苦しい時もある」と悲痛な声が聞かれました。山形県全体の猟友会会員数は、会員数が最大となった昭和53年の7,141名から、令和6年3月末時点では1,735名となり、約75・7%の減少となっています。また、令和6年3月末時点の会員1,735名のうち、1,074名が60歳以上の会員となっており、高齢化が進んでいます。
また、活動コストの一部が会員個人の自費で賄(まかな)われている現状も課題の一つです。町の安全を最前線で守っているにもかかわらず、銃や弾薬、装備、猟銃用金庫、弾薬用金庫、射撃訓練費用など、猟に関わる費用は自己負担もともない、継続参加の障壁(しょうへき)になっています。一方、近年では山形県による「新規狩猟免許取得者助成制度」や町による「有害鳥獣捕獲負担金」や「報酬」などの支援が行われ、猟友会の活動を後押しする追い風も生まれています。

■金山猟友会の想い
受け継がれてきた知恵は、次世代へー
里山に息づく「猟」を見つめる。

○自然のスケールと向き合う日々 その学びを力に、里山の安全を守りたい
加入43年目 猟友会会長 須藤 孝一(すとう こういち)さん

生活の一部だった猟は時代とともに変化し、過去の当たり前は特別に変わりました。さらに年1.2回クマが捕れると町はお祭り騒ぎでしたが、数十年が経過し、現在では当たり前に変化しました。特にこの5年間で、鳥獣による農作物の被害や目撃情報が急激に増え、私たち猟友会の出動や見回りの回数も大幅に増えています。罠の設置ひとつ取っても、安全確保や運搬、設置、確認の手順上、最低でも4人は必要になります。これまでも町民の皆さんや会員の安全に細心の注意を払い、責任をもった対応を心がけてきましたが、現場の安全性と作業の確実性を担保するためにも、会員の確保は大きな課題となっています。
一方で、昨年は若い会員が新たに3名加わりました。体力があり、アウトドア経験も豊富な人材で、活動にも積極的に参加してくれるためとても心強く、ありがたく思っています。少しずつ経験を積んで、将来的には猟友会を牽引(けんいん)していけるような存在になる事を期待しています。また、今後もそういった人材が増えてほしいと強く願っています。
人手不足により、活動の限界はありますが日々、学びと試行錯誤を重ねながら、町の安全を守れるよう、今後も仲間とともに全力で取り組んでいきます。

○自然の中でしか得られない豊かさがあるだからこそ深く知りたいと思った
加入1年目 猟友会会員 渡辺 利彦(わたなべ としひこ)さん

山やアウトドアが好きで金山の自然をより深く知りたいと思い、猟友会に加入しました。職場の理解もあり、活動に参加しやすい環境がある事にとても感謝しています。実際に活動してみると、野生動物の出没が増えたことにより早朝や夕方を問わず出動要請があり苦労されていることや、罠の設置や見回りのための人手が不足しているという現状を知りました。また、野生動物による被害に苦しんでいる方も多く、「罠を置いてくれるだけでも安心する」「見回りをしてくれて助かる」という言葉をいただくたび、少しでも力になりたい、安心して暮らせるまちづくりに貢献したいという思いが強まります。
まだまだ技術は未熟ですが、先輩方や仲間と協力しながら今後も安全第一で取り組んでいきたいと思います。自然を相手にする分、決して簡単ではありませんが、アウトドアに興味がある方、自然が好きな方、体力に自信のある方はぜひ猟友会にご連絡ください。