くらし 海を越えて 英語指導助手ペンリレー No.143

■Juneと水無月
アンセルム・ウデンさん
アメリカ合衆国・インディアナ州出身(田村市に来て6年目)
日本の多くの小学生は、英語で月の言い方を5年生頃から学習し始めます。June(6月)は最も発音しやすく、覚えやすい月の一つではないでしょうか。日本語の月は、数字を数えていくだけなので覚えやすいですが「日本には他にも古くからの伝統的な月の言い方がある」と聞いて驚きました。英語のJuneと日本語の水無月、両方の起源を知ることは興味深いかもしれません。
Juneはローマ神話の女神Junoを起源としています。Junoは「愛、結婚、出産」の女神なので、結婚するのは6月が良い時期だと考えられている理由です。より実際的な理由としては、6月に授かる赤ちゃんは翌年の春に産まれますので、お母さんに出産から回復するため数カ月の時間を与えてくれます。理由は何であれ、6月にはいろいろな花も咲き、June bride(6月の花嫁)は、ヨーロッパでは良いこととされています。日本に来るまで知りませんでしたが、6月は梅雨のせいで結婚にあまり向いていない時季だということでした。しかし、1970年代に日本のウエディング業界は、雨の多い時季に結婚式を挙げる人を増やすためにJune brideという言葉を導入したようです。
雨と言えば、「水無月」は雨の多い月なのに、最初は奇妙な名前のように思えます。この名前の由来について2つの説を学びました。1つは、「無」という漢字は単なる当て字で、「な」という音は所有格を表す記号であるというものです。この解釈によれば、「水無月」は「水の無い月」ではなく「水のある月」を意味することになります。もう1つの説は、「水無月」は旧暦に由来するため、梅雨の後の夏の暑さ、梅雨に比べると実際には乾燥している時季にあたるのではないかというものです。