- 発行日 :
- 自治体名 : 福島県南相馬市
- 広報紙名 : 広報みなみそうま 2025年4月1日号
『外来種と生き物の放流』
春になると鳥や魚、カエルなど、さまざまな生き物が活動的になり、多くが繁殖期を迎えます。鳴き声を出すもの、鮮やかな色彩に変化するものなど、にぎやかな季節の始まりです。
自然が豊かな南相馬には数千種類以上の動植物が生息・生育していますが、その中には、昔は本市にいなかった「外来種」も数多く存在します。これらの外来種は人の手によって持ち込まれたもので、元からその地域に存在した「在来種」を捕食したり、生息環境を壊してしまうことでその地域の元来の生態系をすっかり変えてしまうことがあります。
特に生態系への影響が強いのが、環境省によって指定されている「特定外来生物」で、アライグマ、アメリカザリガニ、オオクチバスなど162種類の動植物が指定されています。
特定外来生物は外来生物法によって、生きたままの移動や放流などの行為が禁止されており、個人が違反した場合には3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金またはその両方という、重い罰則が科せられます。一度環境中に拡散した生物を根絶することは困難で、生物を環境に放すというのはそれだけ影響が大きな行為なのです。
また、外来種というと外国から来たものを呼ぶように思いがちですが、同じ国内でも、その種類が本来いない地域へ、人の手で持ち込まれた場合も外来種となります。
さらに難しいのが、同じ種類でも遺伝的に違うものが別の地域から持ち込まれる場合です。メダカやホタルのように、同じ種が国内に広く分布していても遺伝的に異なるものや園芸的に改良されているものがあります。こうしたものが放流され、交雑によって、数千年から数万年という長い時間をかけて地域の環境に適応してきた在来集団の遺伝的な多様性が損なわれてしまうのです。
本市の自然は50年後、100年後の市民のものでもあります。生き物を飼う方は、飼育を楽しむと同時に「最後まで飼う」「絶対に野外に放さない」ということを必ず守っていただきたいと思います。
問合せ:市博物館
【電話】23-6421