くらし 令和7年度 広野町施政方針 いのちを守り、人を活かし、未来をつくる町(3)

◇復興関連事業
復興関連事業につきましては、東日本大震災及び原子力事故から14年が経過し、第二期復興創生期間から、更にその先に歩みを進めるにあたり、広野町復興計画に掲げる基本理念・目的を達成し、復興事業のシンボルに位置付けている広野駅東側第一期開発地区の産業団地並びに第二期開発地区の住宅団地、広野駅周辺の整備を着実に進めていきます。住宅団地整備事業については、事業者による造成工事が完了し販売を開始しており、多くの住宅メーカー様より関心をいただいています。若者・子育て世代の定住、県外都市部等からの移住に重点を置き、土地購入の負担軽減となる補助制度の実施、子育て・教育環境の充実、就労環境や企業マッチングに力を入れ、移住後の安定的な生活を支援していきます。広野駅周辺整備事業については、「広野駅周辺整備の基本事項に関する協定」に基づきJR東日本水戸支社と協議を進め、未来のかけ橋と広野駅構内こ線橋へのエレベーターの設置、スロープやホームの嵩上げなどバリアフリー化が進み、令和6年11月9日には新駅となるコンパクト駅舎の供用が開始されました。今後、駅利用者の利便性を高めるため旧駅舎の改修、西口広場のロータリー化を行い、町のランドマークとして利用者が安心・安全に利用できる環境、地域住民の交流の場を構築していきます。

◇ゼロカーボンシティの取組み
ゼロカーボンシティの取組みにつきましては、地球温暖化が原因とされる大災害を伴う気候変動から、パリ協定に基づく長期戦略として、今世紀後半のできるだけ早い時期に脱炭素社会の実現を目指すことが掲げられ、CO2の削減を目的としたカーボンニュートラルに向けての取り組みが世界の潮流となっています。広野火力発電所が立地する町として、事業者である株式会社JERA(ジェラ)と共に、持続可能な将来像の実現のため「広野町ゼロカーボンビジョン」を策定し、脱炭素技術の開発促進、経済的な合理性、国等の政策との整合性を踏まえ、再生可能エネルギーを推進していきます。町では、昨年度に引き続き「民間資金を活用した公共施設等への再生可能エネルギー設備導入等事業」に係る基本協定に基づき、スマートソーラー株式会社と連携し、「環境負荷の軽減」、「災害時の非常用電源確保」、「地域社会への啓発と普及促進」に取り組むとともに、環境省の交付金事業を活用し、太陽光・風力・バイオマス発電など、再生可能エネルギーの活用を図り、EV車等や急速充填設備の設置、水素・アンモニアの社会利用モデルの構築に取り組み、2050年のカーボンニュートラルの実現を目指します。

◇移住・定住事業の展開
移住・定住事業の展開につきましては、第二期復興創生期間からその先に向け、少子高齢化の地域課題に対応するため、「広野町移住定住「共生のまちづくり」促進プラン」による人口増を目標に掲げ、若者世代・子育て世代をターゲットとした住宅開発、各種交流イベントへの参加、SNSを使ったメディア戦略によるPR事業の展開、移住体験ツアーや二地域居住の受け入れ体制の構築を図ります。これら施策を展開するにあたり、東日本大震災・原子力事故以降、復興支援等でお世話になった国・県・地方自治体、NPO等地域団体、ひろぼークラブなどで応援いただいている方々、東京福島広野会の皆様、大学などの高等学術機関、各企業等、関係するすべての皆様とネットワーク体制を構築し、様々な場面において情報を共有していきます。移住を希望される方々と地域の皆さんとのきずなを深めながら、受入体制の一層の強化を図り、移住・定住の促進に積極的に取り組んでいきます。

◇子育て環境の構築
子育て環境の構築につきましては、子育て環境の充実を図るため、広野町子ども家庭センターを中心に保健師、保育士、教育委員会、民生児童委員、こども家庭課職員が部署の垣根を越えた横断的な連携を行うとともに、新たに子育て世帯訪問支援事業を展開し、子育てに関する様々な問題の早期発見、解決に取り組んでいきます。妊婦・子育て家庭が安心して出産・子育てができる環境整備のため、引き続き0歳から5歳児の保育料を無償化することで、子育て家庭の経済的支援を行っていきます。

◇教育全般
教育全般につきましては、令和2年度(小学校)、3年度(中学校)より全面実施されている現行の学習指導要領および第三次広野町教育ビジョンに基づく教育活動を展開し、ふたば未来学園中学校・高校との連携を見据えながら、広野町立学校独自の魅力ある教育の創出を図ります。

◇学校教育の推進
確かな学力・豊かな心を育成する学校教育の推進につきましては、「主体的・対話的で深い学び」へ導く授業づくりの推進に向け、人権教育の理念を基にした授業の充実、授業および家庭学習において一人1台タブレットを活用するとともに、町独自にICT支援員を配置し、児童生徒の発達段階に応じて、探究的な学びに情報活用能力を生かし、ICT機器の効果的な活用を各教科の単元計画に位置づけ、学びの質や効率の向上に取り組みます。これまでの小中連携体制を生かしながら、教育委員会と学校で組織する「授業力向上委員会」において、子どもたちの実態を分析し、学力向上に向けた授業研究会・指導法改善の研修会の充実に取り組みます。学校司書と連携し図書館資料の活用促進を図り、読書や書籍活用の意欲を高めるとともに、学校図書館の利用を授業計画に組み込み、読書センター機能・学習センター機能・情報センター機能を発揮した学びの推進に取り組みます。

◇グローバル教育の推進
グローバル教育の推進につきましては、語学力やコミュニケーション能力を育成する環境の充実を図るため、外国語指導助手を活用した英語教育に加え、中学校において異文化交流、国際理解や国際協調の学びを目的とした東日本国際大学との交流事業(グローバル・デイ)並びに小中学校児童生徒のブリティッシュヒルズ異文化交流宿泊体験事業を小学校5年生から中学校2年生まで連続した4年間に拡充して実施します。

◇地域と学校が協働する学びの推進
地域と学校が協働する学びの推進につきましては、中学校において、地域の人的・物的資源を活用し、映像制作を通して「ふるさと広野町」の良さを再発見し、伝統と文化を見つめ直すことで、広野町の未来と地域の復興に貢献できる子どもたちの育成を目的とした「ふるさと創造学」に取り組みます。令和3年度に作成した地域学習用副読本(小学生向け)を契機とし、地域の人的・物的資源を活用しながら、子どもたちが地域の事象や歴史的背景等を学ぶことができるようにします。コミュニティ・スクールを展開することで、学校と家庭、地域住民、社会教育機関等が、学校内外の活動において有機的に協働し、学校を核とした地域社会全体で子どもを育む環境の整備に取り組みます。