- 発行日 :
- 自治体名 : 福島県双葉町
- 広報紙名 : 広報ふたば 2025年2月 災害版 No.165
■双葉町を忘れない
平成23年3月11日に発生した東日本大震災、そして東京電力福島第一原子力発電所の事故により、私たち双葉町民はふるさと双葉町を離れ、今もなお全国に分かれて避難生活を送っています。
先の見えない不安な生活の中で、町民の皆さんが毎日をどのような思いで過ごし、ふるさと双葉町への思いを抱き続けているのかを、皆さんの声をお聴きしながら「ふるさと絆通信」として連載しています。
そして「ふるさと絆通信」を通して、皆さんの双葉町への思いと心の絆がより一層深まることを期待いたします。
■「ふるさと絆通信」であなたの思いを伝えてみませんか。
ふるさと絆通信では、避難されている皆さんへ想いを伝えていただける方を募集しています。
避難生活での活動や日々の生活の中で感じていること、ふるさと双葉町への想いをこのコーナーでお話ください。双葉町民の方ならどなたでも結構ですので、ご連絡をお待ちしています。
株式会社鹿島印刷所(南相馬市)の記者が町民の皆さんの避難先を訪問し、インタビュー取材をさせていただきます。
掲載する文章は、その内容をもとに記者が作成しますので、インタビューをお受けいただいた方が文章を作成する必要はありません。
問合せ:秘書広報課
【電話】0240-33-0125
■塚原 璃奈(つかはらりな)さん(長塚一)
居住先:埼玉県川口市
▽冬は雪と雷の季節
双葉町は冬でも晴れた日が多かったことは覚えています。原発事故後、埼玉県内の親類宅を経て父の勤務先がある金沢市で生活を始めました。
太平洋側から日本海に面した地域への大移動となりましたが、同じ本州とはいえ季節の風景が全く異なり、冬は雷を伴った降雪が続き、それまで慣れ親しんだ冬晴れの景色を恋しく思うことも多々ありました。
▽部活動に感じた故郷との縁
金沢市に移って以降、小学生の頃から硬式テニスを始めましたが、子どもの場合は軟式が主流で、通学できる範囲で唯一部活動に硬式がある中高一貫校へと進みました。
最近になって、双葉町では子どもたちのソフト(軟式)テニスが盛んで全国レベルの強豪選手を輩出していたことを知り、軟硬の違いはあっても不思議な縁のようなものを感じています。
▽進学後に触れた「福島県の復興」
中高一貫のため高校受験が無い代わりに6年間じっくりと腰を据えて自身の興味や進路について考えることができた中、報道等を通して、福島県の主要産業の一つである農業が風評被害を受けながらも復興に向けて歩みを進める姿を目にして、農業に関心を持ち東京農業大学国際食料情報学部アグリビジネス学科に進みました。
これまでの2年間、さまざまなことを学んできました。特に、近年健康志向の高まりで注目されるようになった有機農業や、農業経営について力を入れて勉強していますが、農業者のアイデンティティーから数値を活用した経営管理まで幅広い知識を必要とするため、それらを体得できるよう奮闘の日々を送っています。
また、学校が主催する震災復興支援のプロジェクトにも参加し、浪江町や相馬市の農作業等フィールドワークに携わりました。
▽身近で発生した大災害
私が高校生になった頃から同県内の能登地方で地震が頻発し、大地震に加え水害にも見舞われました。昨年元日、乗車した北陸新幹線が長野県内を走行中、令和6年能登半島地震が発生し、停電で車内待機に遭いましたが、幼い頃とはいえ震災を体験した者として、能登の被災は他人事と思えず非常に心が痛みました。
▽故郷が復興する姿に触れて
昨年9月「ふるさとを、見ようプロジェクト」に参加し、同世代の仲間たちとともに、自らの足で双葉町内を見て歩きました。町を離れたのが小学生になる直前で、故郷についての具体的な記憶はほとんど無いため震災前後の比較はできませんが、将来に向かって新しい変化を続けているような息遣いが感じられました。