文化 〔生誕100年を迎えて〕永井路子さんの功績をたどる

・「ふるさと、わが町」と呼べるのはやはり古河である 中公文庫『わが町わが旅』より抜粋

名誉市民・故永井路子さんが、古河の地を踏んだのは3歳の時。その後20年余りを過ごし、鎌倉市に移り住んだ後も「ふるさと」として古河に思いを寄せてくださいました。
古河について「軽薄な娯楽施設など作らずに、無愛想な自然はそのまま残しておいてほしい」と言葉を残すほど、当時、時代を先取る形で残った自然と、歴史が共存するこの地を気に入っていた永井さん。またその思いから、多額の寄附や貴重な資料を寄贈くださるなど、古河市の文化的まちづくりに多大なるご尽力をいただきました。
今年は永井さんの生誕100年に当たる節目の年。古河とのつながりを振り返るとともに、今後開催されるイベントについて紹介します。

◆プロフィール
歴史小説家。本名:黒板擴子(くろいたひろこ)。1925(大正14)年東京生まれ。3歳の時に母方の郷里である古河に移り、結婚までの20年余りを過ごす。
昭和40年『炎環』で直木賞を受賞。昭和57年『氷輪』で女流文学賞受賞。平成21年『岩倉具視』で毎日芸術賞受賞。このほか、NHK大河ドラマ「毛利元就」の原作である『山霧』や『北条政子』『流星』など、歴史の中の女性の役割に光を当てた「女性史もの」も高く評価された。

◆永井路子さんの功績
◇鎌倉市の史跡を案内
古河郷土史研究会の会員を鎌倉に招き史跡を案内。これが古河総合公園の整備や歴史博物館建設等の史跡保存活動につながりました。

◇仮開園の古河総合公園を見学
請願書が採択されたことで、自然と文化に親しめる公園として設立され、現在も多くの市民に利用されています。

◇校歌作詞の打ち合わせ
古河第三中学校の校歌は、直木賞受賞作家である小説家・詩人の伊藤桂一氏(左)が作詞。依頼するに当たり、ご尽力いただきました。

◇古河歴史博物館の設立
国指定重要文化財の「鷹見泉石(せんせき)関係資料」の収蔵や古河歴史博物館の設立は、永井さんの助言をきっかけに大きく進みました。

◇古河文学館の設立
県内初の文学館設立に向け、準備にご協力いただいたほか、膨大な所蔵品や寄附金もいただきました。

◇著名人との橋渡し
文学館企画展「近代説話展」では永井さんを中心に、著名人(左から伊藤桂一氏、辻井喬(たかし)氏、寺内大吉氏)にご参加いただきました。

◆永井路子さんの世界を散策する
古河文学館では、鎌倉文学館との巡回企画展「生誕100年 永井路子展」を開催します。合わせて、鼎談(ていだん)やひとり語りなどのイベントも行いますので、ぜひご来館ください。

◇生誕100年 永井路子展
永井路子さんの生涯を追いながら、自筆原稿など貴重な資料を通して永井文学の魅力を紹介します。
期間:10月25日(土)~12月23日(火)
費用:大人200円(小中高生50円)

◇鼎談「名誉市民歴史小説家・永井路子先生を偲ぶ」
永井路子さんのご遺族と両文学館の学芸員から見た、永井文学と永井さんの生涯を深く語ります。
日時:11月2日(日) 14時
費用:大人200円(小中高生50円)
定員:50人程度(先着)
申込期限:10月28日(火)(電話受け付け…9時~17時)〔電話〕〔QR〕

◇古河文学館ギャラリートーク
「生誕100年 永井路子展」について、学芸員が分かりやすく丁寧に解説します。
日時:11月22日(土) 11時~12時
費用:大人200円(小中高生は無料)
定員:15人程度
申込期間:10月10日(金)9時~〔電話〕

◇古屋和子ひとり語り語り
の名手・古屋和子氏によるひとり語りの会を開催します。
日時:11月29日(土) 14時
費用:2,500円(3館共通入館券含む)
定員:60人程度(先着)
内容:永井路子原作「黒雪賦(くろせっぷ)」(『炎環』より)ほか
申込期限:11月14日(金)(電話受け付け…9時~17時)〔電話〕〔QR〕

申込・問合せ:古河文学館
【電話】21-1129