くらし 鉾田市合併20年の軌跡(1)

~過去と今、それぞれの視点から見つめる鉾田市の姿とは~
合併から20年。この節目を祝うため、合併の功労者と、合併と同じ年に生まれ今年二十歳を迎える若者のお二人に、鉾田市への思いを語っていただきました。

■旧旭村長 酒井長敬さん
私が村長を務めていた当時、合併特例法の期限が迫るなか、村民の意見は大きく二つに割れていました。大洗町との合併か、それとも鉾田町・大洋村との合併か。それぞれの選択肢には、異なる未来像が描かれており、村民の皆さんの生活やアイデンティティに関わる、非常に重い決断でした。私は村民の意思を何よりも尊重するため、「一票でも多い方に合併する」という方針を掲げ、最終的には、住民投票により、僅差で鉾田市としての新たな一歩を踏み出すことになったのです。
閉村式の日、新市としてスタートする未来への期待と、長きにわたり愛着を育んできた旭村の名がなくなることへの寂しさが入り混じり、その二つの感情が胸の中で複雑に絡み合いました。職員たちの目にも同じような複雑な思いが見て取れました。共に村を支えてきた仲間たちと、この歴史的な瞬間に立ち会えたことは、生涯忘れ得ぬ思い出となりました。
合併後、私は鉾田市長職務執行者として一か月、市助役として一年三か月にわたり、新市の市政に携わらせていただきました。それは、愛着ある村の歴史を新しい街へと引き継ぐ、まさに「バトンを渡す」という責任ある役割でした。先人たちが築き上げてきた旭村の歴史と伝統を、新しい鉾田市へと無事に引き継げたことは、私の人生最大の喜びです。
合併して二十年。自然に恵まれた誇りある私たちの故郷「鉾田市」が、さらに発展し、市民の皆さんが心豊かに、希望を持って、幸せに暮らせることを心から願っています。

■令和七年度二十歳の集い実行委員長 鎌田侑翔さん
鉾田市が合併して二十年。私自身もこの節目に二十歳を迎え、故郷である鉾田市とともに育ってきたのだと改めて感じています。この二十年で、街には様々な変化がありました。特に、母校の徳宿小学校が「とくしゅくの杜」として新しい学びの場に生まれ変わったことは印象的です。自分が通った学び舎がなくなったことへの寂しさはありますが、形を変えて今の子どもたちに引き継がれていることを、とても嬉しく思います。
この街には、たくさんの魅力が詰まっています。たとえば、「日本一おいしい野菜のまち」として知られる通り、新鮮な旬の野菜がいつでも手に入り、この土地の豊かさを実感できます。また、歴史と伝統ある鉾田の夏祭りも大きな魅力です。お祭りの期間中は街全体が活気づき、参加する人々が一体となって楽しむ姿を見ると、ふるさとへの誇りを強く感じます。この素晴らしい鉾田の魅力を未来へ繋ぐためにも、若者が集い、さらに活気のある街になってほしいと願っています。市民一人ひとりが「この街に誇りを持てる」と思えるような、そんな鉾田市をみんなで築いていきたいです。
私も二十歳という節目を迎え、大人としての責任を自覚しました。今後も様々なことに挑戦し、誇れる自分になりたいと思います。そして、いつか自分を育ててくれたこの街に恩返しをしたいです。未来を担う子どもたちには、この豊かな自然の中で、のびのびと成長し、未来の鉾田市を創造する一人になってほしいと心から願っています。