くらし いい看取り・看取られ 11月30日は「人生会議の日」 元気なうちからはじめる「人生会議」

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「人生会議」とは、人生の最終段階において、あなたの大切にしていることや、どのような医療やケアを望んでいるかを考え、信頼する人たちと話し合うことを言います。
これからの人生をより豊かにするために、元気なうちから人生会議を始めてみませんか。

■元気なうちから「人生会議」をすることの意義
あなたは、自分にもしものことがあった時のことを考えたことがありますか。健康な人でも、突然大きな病気やけがをする恐れがあります。命の危機が迫った状態になると、約70%の人が、医療やケアなどを自分で決めたり、望みを伝えたりすることができなくなるとされています。
そのような状態になったとき、あなたの周りの人は、あなたが受ける医療やケアなどについて選択を迫られ、判断をしなければなりません。
このような時、周りの人が、あなたの考えや価値観をあらかじめよく知っていることが、判断の重要な助けとなります。何かあってからではなく、元気なうちから、あなたの思いを伝え、知ってもらうことが大切です。

■人生会議の進め方
ステップ1 自分の考えを整理する 人生会議を始めてみましょう
・大切にしたいこと。
・これからの自分。
・ケアを受けたい場所。
・最期を迎えたい場所。
・もしもの時に判断してほしい人。

ステップ2  信頼している人たちに伝え、話し合う
かしこまった場である必要はありません。お盆やお正月など、家族が集まる機会や、何気ない会話から始めましょう。

◇Point(ポイント)
気持ちが変わることはよくあることです。家族や信頼できる人と繰り返し話し合いましょう。

■「在宅療養パンフレット(人生会議編)」で人生会議を始めてみましょう
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本市では、医師や看護師、ケアマネジャーなどの専門職の協力の下、「在宅療養パンフレット」を作成しました。「人生会議編」は、パンフレットに直接書き込むことができます。
書けそうな箇所から書き始め、家族や親しい人と話し合ってみましょう。いつでも見返すことができるよう、保管場所も共有しましょう。
※詳細は本紙をご覧下さい。

◇Point
何度でも書き直せるよう、鉛筆で書くのがおすすめです。

■自分の人生を見つめ直す「人生会議」
◇救急搬送時の意思決定
医療ソーシャルワーカーとして、患者さんやご家族の人生の岐路に立ち会う中で、何度も「もしあの時、話し合っていれば」という声を聞いてきました。人生の最終段階における意思決定のサポートは、私の重要な役割の一つです。
患者さんが救急搬送され、自ら意思表示ができない重篤な状態だった場合、ご家族はその場で延命治療について決断を迫られることがあります。過去に、突然の病気でご主人が心肺停止となり、救急搬送されたケースがありました。生命維持装置で命をつなぐことはできても、元の生活に戻ることは極めて難しい、そんな状況で、奥さんは延命治療を続けるか否か、重い選択をしなければなりませんでした。混乱と悲しみの中で、命に関わる決断を下さなければならないご家族の心理的な負担は計り知れません。

◇「人生会議」や「リビング・ウィルカード」の重要性
こうした状況を避けるためにも、普段の何気ない会話の中から、ご自身の考えや価値観を周りの人に伝えておくことが大切です。万一のことがあった場合、本人だけでなく、ご家族にとっても大きな心理的負担の軽減につながります。
「人生会議(ACP=アドバンス・ケア・プランニング)」と聞くと身構えてしまうかもしれませんが、決して堅苦しいものではありません。さまざまなきっかけで、普段の会話の中から始めるのが良いでしょう。延命治療に関する意思を書面に残しておく「リビング・ウィルカード」も、いざという時にご家族が判断する際の大きな助けとなります。

◇最善を期待し、最悪に備える
誰でも、突然の病気や事故により意思表示ができなくなる可能性があります。「最善を期待し、最悪に備える」という言葉がありますが、災害への備えなどと同じように、元気なうちから考え、話し合っておくことが大切です。
最期まで「自分らしく生きる」ために、前向きな気持ちで取り組んでいただきたいです。普段から医療や介護サービスを利用している場合には、信頼できるスタッフに相談しておくのも一つの方法です。

◇最期まで「自分らしく生きる」ために
患者さんやご家族と向き合う時、私は個別の治療選択ではなく、その人の人生観や価値観に耳を傾けることを心がけています。普段の会話から得られた言葉を丁寧に拾い上げることが、患者さんの尊厳を守る手掛かりになるからです。本人の意思を尊重し、納得感のある選択を支援することで、不確かな選択による心の重荷を軽減できればと考えています。

済生会宇都宮病院 医療ソーシャルワーカー
澤村 謙太(さわむら けんた)さん

■延命治療の意思表明「リビング・ウィルカード」
「リビング・ウィル(生前の意思表明)」とは、現在の医療では死が避けられない状況になった時、自分はどのような医療を受けたいのか、受けたくないのかを、あらかじめ意思表示することです。「リビング・ウィルカード」は、市HPに掲載している他、高齢福祉課の窓口で配布しています。

■在宅療養パンフレットをご活用ください
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ご紹介した「人生会議編」を含め、在宅療養について皆さんに知ってほしいことをまとめたパンフレットが全7種あります。
各パンフレットは、市HPに掲載している他、各地区市民センター・出張所・図書館などの窓口で配布しています。

■公開講座「医療の選択の決定を迫られたとき そのときあなたは」
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日時:12月13日(土)午後1時30分~3時30分。
会場:ライトキューブ宇都宮(宮みらい)。
内容:高田芳枝(たかだよしえ)さん(県立がんセンター看護師)による、がん医療の現場から人生会議について考える講座。
定員:先着200人。
申込方法:右の申込みフォームに必要事項を入力するか、電話またはメールで、市医師会【電話】622-5255【メール】[email protected]へ。
※二次元コードは本紙をご覧下さい。

問合せ:高齢福祉課
【電話】632-2332