- 発行日 :
- 自治体名 : 栃木県足利市
- 広報紙名 : 広報あしかがみ 2025年10月号 No.1613
早川尚秀
■小学校における教科担任制の導入
足利市教育委員会では、今年4月から市内全小学校の高学年を中心に『教科担任制』をスタートしました。教科担任制とは『1つのクラスの授業を複数の先生が担当する取り組み』のことで、中学校では全国的に導入されています。制度導入の目的として、(1)教科ごとに専門性に基づいた指導法を工夫改善し、学力向上を図る(2)複数の先生で子どもを多面的に見ることや組織的な対応により、指導の充実を図る(3)義務教育9年間の円滑な連続性を充実させ、いわゆる『中1ギャップ』の解消につなげる(4)先生の指導教科数が減ることで、業務の改善を図ることが挙げられます。
まず、令和4年度から6年度に、市内数校をモデル校として先行導入しました。モデル校でのアンケート結果(表(1))などから、その効果を認め、今年度から市内全小学校において推進することを決定しました。具体的には、小学校5・6年生では国語と算数を基本とした複数教科での実施、4年生では学校の実情に応じた複数教科での実施としています。
そして、今年度の1学期を終えた時点でアンケート調査を実施したところ、下表のような結果となりました(表(2))。
さらに、先生の専門性がいかされたことにより、授業の質が向上し、子どもの学習意欲も高まったことで、学力向上につながっています。教育委員会では、専門ではない教科を担当することや複数学年を担当することに不安を感じている先生もいる中で、小中一貫教育の視点から学びの接続を意識し、教科指導研修会を積極的に開催するなど、取り組みの充実を図っているところです。
一方で、学校の規模によっては先生の数が少なく、教科担任制の導入が困難といった課題もあり、公教育としての公平性が担保できない状況もあります。子どもたちの声を尊重しながら、子どもたちにとってより良い教育環境を提供できるように、教育委員会と協力して取り組んでまいります。

