- 発行日 :
- 自治体名 : 栃木県栃木市
- 広報紙名 : 広報とちぎ No.181 令和7年5月号
蔵の街とちぎビジネスプランコンテスト2024
最優秀賞・とちぎおいしいーとこフードバレー賞
岩﨑元気(いわさきもとき)さん
大平町に栃木市初のワイナリー設立を目指し、蔵の街とちぎビジネスプランコンテストで最優秀賞に選ばれた岩﨑さんにお話を伺いました。
■ワインの本場フランスへ
大平町のぶどう農家に生まれた岩﨑さんがワインに出会ったのは大学時代。その奥深さに魅了され、卒業後はワインショップに就職しました。働きながら知識を深めていくうちに、実家のぶどうでワインを造れないかと思い立ちます。そして、得意の英語を活かし単身でワインの本場フランスへ。多くのワイナリーで修業を重ねながら、ブルゴーニュ大学で学び、フランス国家公認醸造士の資格を取るまでに至ります。
「ワインには時間と場所を超えて地域の魅力を伝える力があります。いつ、どこで、誰が作ったか、畑のコンディション、その年のぶどうの出来など、様々な条件が絡み合って一本のワインになります。何十年も前に遠くの国で造られた物を味わいながら、その背景に想いを馳せることができる。そのストーリー性こそが賞味期限のないワインならではの魅力です。」
■試行錯誤のワイン造り
ワイン造りは選択の連続。ぶどうの収穫時期から、圧搾(あっさく)方法、酵母の有無などいくつもの決断を迫られます。「その年の降水量や気温などの条件に合わせた方法を模索していくしかありません。それが難しく、楽しいところでもあります。」
現在は、足利市にあるワイナリーを間借りしてワインを造りながら、自身のワイナリー設立に向けて、ワイン用のぶどう栽培、建設地探し、資金調達など様々な課題に取り組んでいます。そして、念願の第一弾となるワインが今春リリースされました。
■ワインにしかできないこと
岩﨑さんの原動力は、生まれ育ってきた地元を盛り上げたいという想い。大平町ぶどう団地は、高齢化による耕作放棄地の増加が懸念されています。その問題解決や地元の魅力発信のためにワイナリー設立を目指します。
「ワイナリーができれば、農業者だけでなく、ワイン造りを始めたい移住者も呼び込めます。ワイン用のぶどうは、生食用より手間がかからないため、既にある畑や設備を少ない人手で無駄なく活用可能です。また、ワインをきっかけに、栃木市に興味を持つ人が増えれば、地域の活性化につながるはず。将来的には、ワイナリーを中心に、レストランやカフェなどを併設し、ぶどう団地をワインや地元産の食材を味わえる魅力的な一つの観光地にしていきたいです。」