- 発行日 :
- 自治体名 : 栃木県下野市
- 広報紙名 : 広報しもつけ 令和7年3月号
■カルチャーショックと一時帰国
Kulturschock und Rückkher
(クルトゥアショック ウント ルッケア)
ちょっとした文化的な違いなどを体験したときに、日本では「カルチャーショック」という言葉が使われますよね。ウィキペディアによると、カルチャーショックとは、「異文化に見たり触れたりした際、(中略)母国文化の常識と大幅にかけ離れていたり、自身が学校教育などで習得したその異文化に関する知識・情報と乖離(かいり)しているため、心理的にショックを受けたり戸惑うことである」とされています。
このような異文化への適応の状態をよりよく理解するために、Uカーブモデルというものがあります。それによると、異文化適応には4つの段階があります。
(1)ハネムーン期:新しい環境の全てが新鮮で面白く感じ、楽観的に異文化に対応することができる時期。
(2)ショック期:カルチャーショックの最も深刻な時期。やることなすことすべてがうまく行かないように感じ、過度に攻撃的あるいは徹底的に内向きになる。
(3)回復期:言語や周りの環境にも慣れて、自他の文化を客観的に見ることができ、どの文化にもプラス面とマイナス面があることに気づく時期。
(4)安定期:異文化適応がほぼ完成し、ストレスや心配などがなくなって居心地良く感じる時期。
これらの4つ段階は、誰もが必ずなる、というものではなく、またなった場合も、その時期や継続期間、カーブの深さ(程度の大小)にも個人差があります。それでも少し気をつけたほうがいいと思われるのは、(2)のショック期でしょう。この時期には、時にうつのような症状が出ることがあります。
うつといえば、「冬季うつ」という言葉がありますが、ドイツは日本に比べて緯度が高く日照期間が短いので、「人と会うのが面倒」「何事もおっくう」などの抑うつ症状が出ることがあります。
そのようなときの対処法としては、「努めて日の光をあびる」、曇り空が続く場合は「日光と同じ効果をもつ照明器具を使用する」「日焼けサロンに行く」(ドイツではおかげさまで、各地に日焼けサロン(Sonnenstudio(ゾネンシュトゥディオ);太陽のスタジオ)がたくさんあります)、などが挙げられます。ほかにも、単純ではありますが、「早寝早起きをする」「栄養のある食事をとる」「適度に運動する」などもよい効果をあげるようです。
最後に、私の経験とアドバイスをみなさんにシェアしたいです。私も、先に書いたUカーブモデルそのままではありませんが、やはり4つの適応段階を体験しました。
初めて来日したとき、私の日本についての知識はまだほぼゼロで、漢字やかな交じり文、日本人のみなさんに守られている暗黙の了解は、すべてエキゾチックに感じられました。でも、日本に長く住むほど、ドイツとの違いやショックを感じることも増えてきました(例えば、なぜ横断歩道では歩行者が優先権を持っているのに無視され、自動車が勝手に走っていくのか…)。でも、友達や同僚に相談して、お互いの国の習慣やルールを話し合えば、勉強になるうえに、絆を深めるきっかけになると思います。
家族から離れて寂しいと思うときには新しい趣味などにチャレンジするのもおすすめです。クラブやサークルに入ると、自然に新しい人と出会えるし、寂しさから気をそらせます。
■ミニコラム「ドイツに一時帰国したときに気がついたこと」
このコラムが出るときはもう3月ですが、12月にドイツに一時帰国したときの思い出を少し。
まず驚いたことは、冬の天気でした。日本のように朝6時30分くらいに薄明るくなっていることはなく、8時30分ごろにようやく明るくなります。寒いので、外で用事がないときは室内で一日を過ごします。家を出たら、空がグレイで雨や雪が降ります。一週間ほど太陽が現れないことも珍しくないので、冬の天気はしんどいなぁと感じてしまいました。
その代わりに素敵な習慣だと思ったのは、クリスマスの飾りでした。空港へ着くと、両親が迎えに来てくれました。空港から家まで、どんな家も素敵な赤・白・緑のクリスマスカラーのオーナメントで飾られていました。それを見た瞬間「やっと着いた!」と幸せを感じました。日本にいる間は家の外側や庭に飾られているクリスマス飾りをドイツほど見ませんでしたので、「クリスマスが来た」という雰囲気はまだあまり感じませんでした。
さて、このコラムが出るのは冬が終わって春になるころです。外で遊べるし、3月から咲き始める桜も楽しめる時期ですよね!私もこれから、下野市できれいに咲く桜のスポットを探してみたいと思っています。