- 発行日 :
- 自治体名 : 群馬県桐生市
- 広報紙名 : 広報きりゅう 令和7年3月号
◆ハワイガン ~ひとみんとゴードンの子育て記録~
水鳥・クジャク・カピバラ担当 久保田 真智子(くぼた まちこ)技術員
今回は、動物園の役割の一つ「種の保存」についてご紹介します。水鳥舎にいる、ハワイガンという鳥をご存じでしょうか?
主にハワイに生息する鳥です。一時は絶滅を危惧されましたが、今では数が少しずつ増えてきています。
そして、当園でも令和5・6年度と繁殖を試みました。これまで、ゴードン、かか、おしず、ひとみんの合計4羽のハワイガンがいましたが、令和4年度に産卵が初確認されたひとみん(メス)とゴードン(オス)をペアに繁殖計画を立てました。繁殖時期(8月~翌年4月)に合わせて環境作りから始まり、彼らの性格や習性などを踏まえ、巣箱や巣材の工夫、見直しを重ね見守ってきました。
産卵は1日おきに1卵ずつ、2週間程かけて全5~6個を産卵。産み終えるとメスは約1か月間抱卵を続けます。オスは常に周囲に気を張り、メスと卵を守り続けます。令和6年度の実績は5クラッチ(1シーズンに5卵×5回計25個)産卵し、抱卵する姿を確認しましたが、無精卵や中止卵(途中で成長が止まること)でふ化までに至りませんでした。反省点や課題を振り返り、繁殖計画の立て直し。次のシーズンこそは!と期待を膨らませた矢先、令和6年7月にお腹の膨らみを確認。5個産卵し、うち1卵が8月23日にふ化し誕生しました。
令和5年度と6年度に、繁殖を試みて合計30卵産んだひとみん。でも、無事ふ化したのはたった1卵のみ。今回ひとみんとゴードンにとって初めての子育てでしたが、ひなの成長に合わせて上手に子育てする様子に感心するとともに、繁殖の難しさや生命の誕生がどんなに奇跡的なことか命の重みを感じた瞬間でもありました。親鳥の愛情をたっぷり受けて、今ではすっかり成鳥と見分けがつかないひなの名前は「マハロ」。ぜひ、展示場を元気に動き回る姿を見てもらえたら嬉しいです。