- 発行日 :
- 自治体名 : 群馬県千代田町
- 広報紙名 : 広報ちよだ 2025年4月号
■県立館林商工高等学校 高校生アイディアマン
◇農業の良さを後世に伝えていきたい
左から伊佐山悠栞(はるか)さん(舞木16区・18歳)阿部裕斗(ひろと)さん(下中森・17歳)
本町出身の伊佐山さん(3年)阿部さん(2年)を含む10人の生徒(館林商工)が「第22回高校生技術・アイディアコンテスト全国大会」で見事最優秀賞を獲得しました。館林商工高等学校は県内唯一の商業と工業が併設した専門高校で、商業科は長年、「百年小麦」の広報活動を実施。そこで、工業科が自作機械を製作することで商業科と工業科で同じ目標に向かって課題研究を進めました。
上州館林は昔から小麦の名産地で、かつて徳川将軍家にうどんの乾麺を上納するほど、小麦の生産が盛んな地域。地元の小麦ブランド「百年小麦」は、そんな歴史を持つ地域の誇りであり、その文化は現代においても大切に受け継がれています。そこで、工業科の特色を活かし、小麦の脱穀機を作ることに決定。まずは、小麦栽培で使われている機械を調査しました。日本を代表する製粉会社である日清製粉グループを訪ね、脱穀技術などを学習しました。研究を進めると、機械の導入により小麦生産量が大幅に増えたことが分かりました。この地で育まれた機械技術を基盤に、新しいアイディアを検討。
そして、日頃馴染みのある自転車の原動力を利用した自作の機械を考案。先人たちが築いた技術を学びながら、脱穀機を自転車の原動力で動かすシステムを開発しました。この機械は、小麦の脱穀作業を効率化し、電力を使わずに低コストで作業ができる画期的な道具。すべての工程を今まで学習した技術や知識を基に作成しました。フレーム製作では、アーク溶接を用いて実施しました。必要な角度を出したまま溶接することは難しく、苦戦。より多くの穂を刈り取るため、脱穀機の歯の枚数、角度、配列などを工夫しました。その際に、現代で使用されるコンバインで脱穀する仕組みなどを参考に改良をしたり、子どもでも安全に怪我なく使用できるように角をなくすなどの工夫も凝らしました。そして、地元の児童へ「小麦文化継承」のため機械を教材として活用するまでになりました。使用方法の説明や、安全な使い方を分かりやすく伝える工夫も行い、製造者としての責任も果たしました。その結果、彼らのアイディアは、地元の伝統と館林商工の技術を融合させ、持続可能な農業の未来を切り開くものとして高く評価されました。
最後に、伊佐山さん「農業文化の重要性を後世に伝えていくことの大切さを学びました」阿部さん「小学生の頃、町で田植えや稲刈りを体験したことで研究に関心を持つことができました。小さい子が農業に興味を持ってもらえたのが嬉しいです」と笑顔で話しました。
※学年の表示は取材時です。