- 発行日 :
- 自治体名 : 埼玉県羽生市
- 広報紙名 : 広報はにゅう 令和7年10月号
埼玉県立特別支援学校羽生ふじ高等学園が、昨年の「ノウフク・アワード2024」で優秀賞を受賞しました。市や学校、企業、飲食店など市内のさまざまな団体と連携して取り組む、羽生ふじ高等学園の就労支援や地域貢献活動を紹介します。
■特別支援学校 羽生ふじ高等学園
所在地:下羽生320-1
生徒数:91名
※令和7年10月1日時点
学科(コース):農業技術科(農業・園芸コース)、生活技術科(フードデザイン・メンテナンスコース)
■生徒の声
授業で印象に残った話を生徒たちに聞きました。
◇農業技術科 園芸コース
3年 伊藤大喜(だいき)さん
ポットに土を入れて花苗を入れる、鉢上げの作業が楽しかったです。
◇生活技術科 フードデザインコース
3年 福﨑咲衣(さえ)さん
生産物販売会のため、学校に泊まり込み、早朝5時からパン製造を行ったことです。
9月10日(水)、羽生ふじ高等学園で農業コースの生徒たちが、子ども食堂や経済的に苦しい家庭への食料支援を無償で行うNPO法人「羽生の杜(もり)」に、野菜を寄付しました(表紙左上写真)。ナスやミニトマトなど生徒たちが栽培収穫したもので、寄付は年に2~3回行われています。コロナ禍で大量に余った野菜の行き先に困っていたとき、市社会福祉協議会からの紹介で、令和元年から始まりました。「羽生の杜」代表の田村さんは生徒たちに感謝を述べ、「地元の学校と支援のつながりができ大変うれしく思います」と話しました。
羽生ふじ高等学園は、軽度の知的障がいを持つ子どもが通う特別支援学校の高等部です。通学区域がなく、南は春日部・草加市、西は秩父・深谷市など遠方から通学している生徒もいます。職業学科のみの就労に特化した特別支援学校として、平成19年に設立されました。週の半分を専門学科の授業が占め、実践的な学習の中で、生徒たちは働くための知識と技能、働く態度を身につけます。
地域との関わりを大切にする羽生ふじ高等学園では、市内を中心にさまざまな団体と連携した活動を展開しています。
農業分野では、農家から学校周辺の使われていない農地を借りて農作物を栽培。生産者からの栽培指導や、県農林振興センターと連携した農業生産工程管理(S‐GAP)の資格取得などで、農作物の品質向上を図りました。耕作面積も開校当初の約2千平方メートルから約5千平方メートルまで広げ、活動の幅を広げるとともに、市内農地の維持管理にも寄与しています。栽培収穫した農作物は、今年から学校給食に提供され、地産地消にも貢献しています。また、規格外の農作物を活用して県内の加工業者とトマトジュースやビールなどの商品を開発。フードロスへの取り組みなど新たな付加価値を生み、地域の活性化につながっています。農業に限らず他の分野でも、さまざまな取り組みを行っています(本紙ページ上参照)。
羽生ふじ高等学園の折原裕朋(ひろとも)校長は、「地域と関わることで、生徒はコミュニケーション能力を高め、就労への自信につながり、地域からは障がい者への理解を深めるきっかけになります」と話します。地域に根ざしさまざまな活動を展開する羽生ふじ高等学園は、特別支援学校の地域における新たな役割を提案しています。
■取り組み紹介
◇飲食店と連携し商品開発
市内飲食店の「むじな庵」と連携し、生徒たちが育てたモロヘイヤを使った「モロヘイヤうどん」が商品化されました。
◇植栽活動で環境美化に貢献
市役所やワークヒルズの花壇、羽生駅西口の街路樹の植え込みなどに花の植栽を行い、まちの美化活動に取り組んでいます。
◇小学校への出前教室
生徒が指導者として市内の小学校を訪問し、野菜の育て方の説明や苗の植え付け作業を一緒に行うなどの交流をしています。
◇企業と連携し販売会を開催
年1回、イオンモール羽生で、生徒たちが作ったパンやお菓子などを自分たちで販売し、学校と地域との交流の場を設けています。
◇アビリンピックで入賞
「アビリンピック」という障がい者技能競技の全国大会に出場し、複数名の生徒が毎年、上位入賞を果たしています。
◇市内施設の出張清掃
年4回、埼玉純真短期大学や高齢介護施設等を訪れ、窓などの清掃活動をすることで、現場学習を通した地域貢献を行っています。
■農業を通して強い気持ちを育んで
新任で来てから13年間、農業コースで野菜の栽培管理の知識や技術を教えています。入学した頃は細かく指示をして教えていた生徒も、卒業する頃には自分で判断して行動できるようになり、日々たくましく成長する生徒たちをうれしく思いながら見守っています。社会に出る生徒たちには、長く仕事を続けられるよう、困難に負けない強い気持ちを持ってほしいです。
大塚俊太(しゅんた) 教諭
■さまざまな人との関わりを大切に
着任して6年目。フードデザインコースで、パンや焼き菓子製造を教えています。3年生の生徒が1年生との合同授業で、普段感じているコツなどを、自分の言葉で人との関わりを大切に考えて下級生に伝えている姿を見て、日々の成長とそれが自分の中で自信になっていることを実感します。社会に出たら、さまざまな人との関わりを大切にして、誰からも可愛がられる人間になってほしいです。
川田みどり 教諭
■現場実習先を探しています!
羽生ふじ高等学園では生徒の現場実習先を探しています。障がい者雇用に興味がある事業者は、ぜひご連絡ください。
問合せ:羽生ふじ高等学園 進路指導部
【電話】560-2020