文化 今月の河鍋暁斎記念美術館

天才絵師の作品蕨にあり ─No.105─

■暁斎筆「東海道名所之内 御能拝見之図」 1863年 大金板 大判錦絵
本図は「御上洛東海道(ごじょうらくとうかいどう)」シリーズの一つで、江戸城本丸(ほんまる)大書院の南庭の能舞台で上演中の「船弁慶(ふなべんけい)」を鑑賞する町人たちが描かれています。
通常、町人は武家の式楽(しきがく)である能楽(のうがく)を観ることができませんでした。ただ幕府の若君が誕生するなどの慶事があった際には、公式の行事として「御表能(おおもてののう)」が催され、「町入能(まちいりのう)」といって町人の鑑賞が許されることもありました。本図に描かれた町人たちからは、貴重な機会を得て鑑賞していることへの喜びや興奮が伝わってくるようです。
※本作品は現在の展覧会で御覧いただけます

■河鍋 暁斎(かわなべ きょうさい) 天保2年(1831)~明治22年(1889)
現在の茨城県古河市に生まれる。浮世絵や狩野派を学び、江戸・東京の庶民から人気を博す。明治9年、万国博覧会に肉筆画を出品。14年、内国勧業博覧会で日本画の最高賞受賞。娘の暁翠も日本画家。

■河鍋暁斎記念美術館 開催中(25日まで)
企画展 「暁斎・暁翠能狂言画」展
同時開催 特別展「暁斎が描いた戯作本 ―江戸の名残から文明開化まで―」展

開館:午前10時~午後4時
ところ:南町4-36-4
休館:火・木曜日、26日~末日
入館料:一般600円高校生・大学生500円小・中学生300円、65歳以上500円
※65歳以上の人は年齢の分かる物、学生は学生証をご提示ください

展覧会の詳しい内容は美術館ホームページを御覧ください

詳細:同館
【電話】441・9780