子育て 【特集】笑顔と栄養を届ける学校給食ができるまで

■学校給食が担う役割
近年、ライフスタイルの多様化などに伴い、子どもの食生活においては、成長に重要な時期であるにもかかわらず、栄養バランスの偏りや朝食の欠食、肥満・痩身(そうしん)の傾向など、問題は多様化、深刻化しており、子どもたちの生涯にわたる健康への影響が懸念されています。
こうした中で学校給食は、成長期における子どもたちの心身の健やかな発達や、食に関する正しい知識と望ましい食習慣を身につけるため、より一層重要な役割を担っています。

■子どもたちの成長を支えるために
富士見市学校給食センターでは、市内小中学校に通う児童・生徒の健康的な成長を支えるため給食の調理を行っており、現在では、毎日約9千食もの学校給食が調理されています。
今月号では、学校給食に関わる人や学校給食センターの取り組み、人気メニューが作られ、子どもたちのもとへ届けられるまでの過程など、富士見市学校給食センターの裏側をお届けします。

■給食を通じて食を学ぶ
当市の学校給食では、給食を生きた教材として活用することで、子どもの食育を推進するさまざまな取り組みを行っています。
取り組みの一つである地産地消メニューは、子どもたちが市の自然や農業などについてより理解を深められるよう、市内産の新鮮な食材を使ったメニューを提供しています。
また、10月23日のセルビア共和国シャバツ市との姉妹都市記念日にちなみ、毎年セルビア料理を給食用にアレンジしたメニューを提供するなど、学校給食を食べるだけではなく食に関する学びの場とするための取り組みを実施しています。
さらに、学校給食で人気メニューの一つである「焼きそば」が作られる過程の映像を教材として市内小中学校へ提供。あわせて市公式YouTubeチャンネルでも公開し、人気の動画となっています。

■密着!人気メニュー カレーができるまで
◇納品・検収
(1)肉の温度や野菜の鮮度など多岐にわたる項目を入念に確認していきます。

◇洗浄
(2)異物混入を徹底的に防止するため、洗浄作業は全て手作業で3~4回行います。

◇下処理
(3)スライサーで食材をカットするための下処理として、事前に包丁で小さくカットします。

◇炒める
(4)1,000人分を調理できるライスボイラーで食材を炒めていきます。大きなヘラを使う力作業です。

◇煮込む
(5)カレールーなどを加え、煮込みます。最後に食材にしっかり火が通っているか確認します。

◇積み込み
(6)完成した給食をコンテナに入れ、トラックに積み込み、各小中学校に届けられます。

「学校給食の人気メニューの一つがカレーです!」
市では、脱脂粉乳を使ったホワイトルーをカレーに使うことで、カルシウムやタンパク質を豊富に含むオリジナルの
カレーを提供しています!

■INTERVIEW 諏訪小学校 栄養教諭
澤田 佳祐さん

◇学校給食は生きた教材
・栄養教諭の仕事とは
学校の教員として食に関する指導や学校給食の管理を行っています。具体的には、市内の小中学生に体づくりに必要な栄養素と食事、朝食の大切さと運動や生活リズムの関係性などについて授業を行っています。また、学校給食においては、献立作成に始まり食材の発注・検収業務、アレルギーに関する資料作成などを行っています。

・献立作成で意識していることは
栄養価が高く、なおかつ美味しく食べられることを意識しています。栄養価は、学校給食における国が示す栄養価ごとの摂取基準にできる限り近づけるよう、さまざまな食材を使い献立を作っています。そして、譲れないのは味です。見た目はもちろんですが、やはり食べておいしいこと。子どもたちにとって給食の時間が単に食事の時間ではなく、楽しい食事の時間にしてもらいたいと思っていて、そのためにも味にはこだわっています。
また、学校給食は子どもたちにとって生きた教材になります。食事のマナーや食生活についてはもちろん、食材がどの地域で作られたものなのか、どの国の料理なのかといった食文化も給食を通して伝えたい。そのために、地元産の野菜を使った地産地消メニューやさまざまな国の料理を取り入れたメニューの開発に取り組んでいます。

◇元気で健やかに成長してほしい
・学校給食センターで働くことのやりがいと想い
「おいしかったです」の一言が全てのやりがいにつながっています。市の学校給食は、国産の食材や良質な調味料、天然素材のだしを使用することでより安全安心な給食づくりに努めています。子どもたちにはそんな栄養たっぷりの給食をたくさん食べて元気で健やかに成長していってほしいと思います。

■INTERVIEW (株)東洋食品 調理員
古寺 佐房子(さほこ)さん

◇安全安心な給食のため
・調理員の仕事とは
調理員は主に、食材の洗浄やカットといった下処理、フライヤーやスチームコンベクションを使った揚げる、焼くなどの調理、出来上がった給食を食缶に入れ、コンテナへ積み込む作業、そして使用した調理器具や食器の洗浄・片付けまでを行います。毎日決まった時間に確実に給食を各小中学校に届けるため、それぞれの工程を班分けして作業にあたることで、効率的な給食づくりを心がけています。

・働くうえで意識していることは
一つひとつの作業を丁寧に、そして気を抜かずに行うことを常に意識して給食づくりに取り組んでいます。ここで働く調理員はより安全安心な給食を提供することを目標に働いていますが、一人ひとりが妥協せずに作業にあたることで、異物混入などといったトラブルを未然に防ぐことができると考えています。

◇学校給食が楽しみの一つになってくれれば
・学校給食センターで働くことのやりがいと想い
作業を終えて、その日の学校給食が何事もなく無事に提供されたとの報告を聞いたとき、安堵(あんど)の気持ちと、また明日も頑張ろうというモチベーションにつながっています。
また、食べ残しがなくきれいになって戻ってきた食缶を見ると、嬉しい気持ちでいっぱいになります。
子どもたちにとって、つらいことがあったり気分が上がらない日でも、学校給食が学校に通う楽しみの一つになっていれば嬉しく思います。そのためにも、これからもより安全安心な給食づくりに努めていきたいと思います。

問合せ:学校給食センター
【電話】049-252-2881