文化 みよし歴史探訪

■れきしとくらし 第三十九回 中東(なかひがし)遺跡 その(2)
前号は、中東遺跡の概要について掲載しました。本号は中東遺跡から出土した遺物について見ていきます。
中東遺跡から出土した遺物の多くは黒曜石で作られた旧石器時代の石器でした。これらの遺物の注目ポイントは2つあります。
1つ目は、黒曜石が遠方から持ち込まれたものだった、という点です。中東遺跡の遺物は大部分が静岡県天城地区を産地とする黒曜石で、一部が長野県霧ヶ峰地区を産地とするものであることがわかりました。静岡県の産地から三芳町までは直線距離でも100キロ以上離れています。遠い地で産出した黒曜石は人々の移動に伴って、はるばる三芳の地に運ばれてきました。
2つ目は石器を作り出す手順がわかる遺物が出土したことです。発掘時の遺物は数センチ程度の小さな黒曜石の破片でしたが、接合作業の結果、計47点が接合し、原石は長さ約13センチの大きさに復元することができました。この接合した石器を観察すると、どの順番で、どの方向に打ち欠いていったかがわかります。大きな原石を加工して石器を作り出す過程から、旧石器時代の人々が黒曜石をやみくもに割って作り出していたのではなく、計画的に石器を作り出す技術を持っていたといえます。
中東遺跡の調査成果は高い評価を受け、平成24年度の全国巡回展「発掘された日本列島2012」に中東遺跡の石器が出展されました。現在は歴史民俗資料館に展示されていますので、ぜひ実物をご覧ください。

問合せ:文化財保護課
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