- 発行日 :
- 自治体名 : 埼玉県小鹿野町
- 広報紙名 : 広報おがの 令和7年3月号
■観光について考える
観光という言葉は、普段から何も考えずに使っていますが、その語源は中国の儒教の経典である四書五経の一つ「易経」に由来すると言われ、「国の光を観る、もっと王に賓たるに利し(よろし)」という一節がそもそもの始まりで、国が栄えて行くには「王様が国の光(良いところ)を観察する」のが観光のそもそもの意味とのことです。
国観光庁の言う観光の定義は「余暇時間の中で、日常生活圏を離れ行う様々な活動であって、触れ合い、学び、遊ぶということを目的とするもの」としています。(観光政策審議会答申)
また、国の観光推進の法律である「観光立国推進基本法」(平成19年1月1日施行)では、観光は地域経済の活性化、雇用の機会の増大等国民経済のあらゆる領域にわたりその発展に寄与するとともに、健康の増進、潤いのある豊かな生活環境の創造等を通じて国民生活の安定向上に貢献するものであることに加え、国際相互理解を増進するものであるとしています。
そして、21世紀の我が国経済社会の発展のために観光立国を実現することが極めて重要であるとし、観光立国実現に関する施策は、地域における創意工夫を生かした主体的な取り組みを尊重しつつ、地域の住民が誇りと愛着を持つことのできる活力に満ちた地域社会の持続可能な発展を通じて、国内外からの観光旅行を促進することが、将来にわたる豊かな国民生活の実現のために特に重要であるという認識のもとに進めなければならないとしています。
私は本町にとっても観光施策を積極的に推進することは、地域経済を活性化するうえでも極めて重要であると考えています。観光を進めるに当たって一番大切なのはそこに住んでいる人が心地よく暮らしていることがまずは基本であると思います。それは、まち自体にゴミがなく、荒れ果てた農地などもなく、きれいな町並みや里山景観が保たれており、それを取り巻く山や川などの自然景観(環境)も優れていることが必要最低条件であると存じます。本町では残念ではありますが、手入れのされていない遊休農地が目立つことは、里山の美しい景観を損ねており、そこに住んでいる人や来訪される人にとっても良い印象を与えないと存じますので、手入れのされていない遊休農地の解消はまず最初に取り組まねばならないと考えます。
秩父地域おもてなし観光公社が実施した調査では、日帰り客と宿泊客ともに最も多い回答は「自然景観を見る」であり、秩父地域では自然を楽しむディスティネーション(旅行目的、旅行先)であると考えられます。それ以外の楽しみは日帰りと宿泊で異なり、宿泊客は「祭りやイベント」、「温泉」が多くなります。
また、不足している情報源としては39歳以下の若い人はSNSの情報を求めており、60歳以上は観光案内所や観光案内板の情報提供を重視する傾向が伺えます。
私が観光で特に重視したい数字は、宿泊客数であり、幸いにも町内には特色ある宿泊施設(旅館、キャンプ場など)が存在することから、宿泊客数をいかに増やしていくかが今後の町の観光のキーポイントであると考えますので、官民連携して宿泊客増加に向けての施策を講じてまいりたいと存じます。
小鹿野町長 森 真太郎