- 発行日 :
- 自治体名 : 千葉県千葉市
- 広報紙名 : ちば市政だより 令和7年2月号
■八、鍛錬と「イチゴ」にかける思い
2月15日(土曜日)に千葉開府900年を記念した「第1回千葉市いちごマラソン」が、イチゴの生産地である若葉区で開催されます。マラソンは長距離を走るため大変なイメージがありますが、いちごマラソンは、2.7キロメートルの短いコースを家族やグループで走り、イチゴを楽しむことができる大会です。
大会に向けてトレーニングとしてマラソンをする方もいますが、千葉常胤(つねたね)が活躍した鎌倉時代の武士たちも、日々鍛錬(トレーニング)を怠りませんでした。武士はさまざまな武芸の習得が求められましたが、最も重視されたのは、馬に乗って矢を射る「騎射(うまゆみ)」でした。高速で移動しながら揺れる馬上から的を正確に射貫く騎射は、高い身体能力や集中力が求められる高度な技術でした。その習得は容易ではなく、武士は流鏑馬(やぶさめ)、犬追物(いぬおうもの)、笠懸(かさがけ)の「騎射三物(きしゃみつもの)」と呼ばれる鍛錬に日々励み、その技術を磨いていったのでした。武士はなぜ、これほどまでに騎射の鍛錬に努めたのでしょうか。
それは、当時の戦法が騎射中心で行われていたためでした。武士を指して「弓馬(きゅうば)の家(いえ)」というように、この時代、世間から武士と認められるためには、騎射の技をマスターしていることが必須条件だったからです。また、鎌倉時代には座禅を組むことが武士の間で流行し、座禅を通して、どんな状況でも冷静さを保ち困難を乗り越える精神力を養おうとしました。
このように、鎌倉武士は心身の鍛錬を怠りませんでした。千葉常胤は房総に逃れた源頼朝を助け、未来を切り開きましたが、その活躍は鍛錬あってのものだったことでしょう。「一期一会(いちごいちえ)」ということわざがありますが、鎌倉武士の「一期」にかける生き方には、目標に向かって努力を続けること、困難に立ち向かう勇気を持つことなど、己を育む鍛錬へのヒントがあるかもしれません。