文化 ふるさと探訪 タイムスリップ・インザイ【No.37】

■鳥見(とみ)神社の神楽と浦部の神楽
秋の気配が近づく頃、神社を囲む杜の中を軽快な笛や太鼓が織りなす囃はや子しの音が流れていきます。囃子が響く先ではさまざまな衣装をまとった舞手が神に奉納する「神楽」を披露し、訪れる人を魅了してくれます。
現在、市内には2つの神楽が存在し、いずれも県指定無形民俗文化財として受け継がれています。
そのうちの一つが「鳥見神社の神楽(写真右上)」です。毎年10月17日に中根地区の鳥見神社で公開されており、「大和神楽」「十二座神楽」とも呼ばれ、日本神話などをモチーフとした演目が奉納されます。演目の中では、ユニークなひょっとこの面を被った舞手が客席の子どもたちをからかう「おのころ島起源」などが盛り上がりをみせます。
鳥見神社の神楽は文永年間(1444~1449)より行われているとされ、現存する面の大半には宝暦元年(1751)作の銘が入っています。
もう一つの神楽は、浦部地区の鳥とり見み神社で、毎年10月の第3日曜日に奉納される「浦部の神楽」です。こちらの神楽も「十二座神楽」と呼ばれ、日本神話などをモチーフとした演目が奉納されており、境内に設けられた神楽舞台を見上げる形で観賞できます。
昼過ぎから夕刻になる時間までに12の演目が舞われ、特に大蛇退治を舞にした迫力のある「大蛇の舞」や天の岩戸伝説を表わした「天の岩戸の舞」が目を引きます。浦部の神楽は江戸時代初期に阿蘇村上(現在の八千代市村上)より伝わったとされています。
市では、こうした文化財を紹介していくために「印西市指定文化財マップ」を配布しています。市内に残る貴重で魅力的な文化財を、こうした資料を手にしながら小さな旅を楽しんでみてはいかがでしょうか。