- 発行日 :
- 自治体名 : 千葉県白井市
- 広報紙名 : 広報しろい 令和7年8月1日号
■木鼻(きばな)
市内の神社本殿や寺院の建物には、さまざまな彫刻で飾られたものがありますが、その見所の一つに木鼻があります。木鼻は柱の上端に見える、頭貫など柱から突き出た部分の名称です。柱を貫通せずに装飾のために取り付けられたものは掛鼻(かけばな)とも呼ばれます。
木鼻には絵様と呼ばれる曲線の模様が筋状に彫られたものがあります。写真は延宝3年(1675)建立の延命寺山門の木鼻です。江戸時代中期のものなので、赤く彩色されています。市内の社寺建築にはさまざまな木鼻があり、立体的に獅子や象、獏(ばく)を彫ったものもあります。
写真は天保13年(1842)建立の市指定文化財鷲神社本殿の木鼻です。江戸時代後期のものなので、素木(しらき)の彫刻で飾られます。右側の木鼻の彫刻は鼻が長く、象を思い浮かべますが、実は獏を彫ったものです。正面の木鼻は獅子が彫られています。
写真は延享4年(1747)製作の薬王寺薬師堂宮殿型厨子の象です。象と獏はいくつか違いがあります。象は無毛で、目は切れ長や三日月形です。耳が大きく垂れ下がるのも特徴です。一方、獏は巻毛で、目が丸形や空豆形です。獏は眉毛があり、耳が小さく、腹は蛇腹となります。
白井市内では神社建築の木鼻に獏を、寺院建築の木鼻には象を彫ったものが多いです。写真の延命寺本堂の木鼻は、絵様の曲線のみが彫刻されているように見えますが、牙や三日月形の目が線刻されており、象を表現しています。
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