- 発行日 :
- 自治体名 : 千葉県香取市
- 広報紙名 : 広報かとり 令和7年5月号
■向井内(むかいうち)遺跡
向井内遺跡は、山田地区川上地先、標高約3mの沖積(ちゅうせき)平野にある遺跡です。この沖積平野は、利根川に注ぐ黒部川の流水により土砂が堆積してできた低地です。主に水田として利用され、現在に至っています。
平成11年の調査で、遺物が集中する範囲を確認しました。
出土した遺物は、古墳時代中期を中心とした時期の土師器(はじき)で、完全な形のものもあります。壊れているものも割れ口が摩滅していないことから、上流から流れ着いたものではなく、その場所で使用されたものです。種類は杯(つき)・高杯(たかつき)のほかに祭祀(さいし)用に作られた手捏(てづくね)土器があり、この場所で祭祀が行われていたと考えられます。
考古学では神や霊を祭ることを祭祀とし、祭祀遺跡や祭祀遺構と呼びます。
日本には、昔から自然界のあらゆるものに神や霊が宿っているという考え方があります。当時の人々が黒部川の流れによってもたらされる恵みを、水の神に願った場所だったのでしょう。水害が起こらないように、稲などが頭を垂れるほど豊かに実るようにと。
では、祭祀を行った人々はどこに集落を営んでいたのでしょうか。黒部川を望む台地には、古墳時代中期の遺跡は希薄で、沖積平野に点在する微高地にあるのではないかと考えられています。
近年、当遺跡の北西約500mの微高地で、古墳時代中期の遺物が出土する鶴巻(つるまき)遺跡を発見しました。令和5年から発掘調査に着手したところです。祭祀を行った人々の集落跡が見つかる可能性がありそうです。
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