子育て 多古高校が世界に向け発信 Sustainable(サステナブル)な農業が描く未来

◆多古高生が大阪・関西万博で研究成果を発表
現在、世界には約80億人の人がいて、そのうちの約1割が飢餓状態にあるといわれています。一方で、世界中で大量の食品ロスが生じており、日本だけでもここ数年は、毎年約400〜600万トンもの食品が廃棄されています。食べ物がなくて困っている人々がいながら、大量に食べ物が捨てられている……この矛盾とどう向き合うのか、今、私たちに問われています。多古高校の生徒たちが、この問題解決の糸口として導き出したのが、昆虫食の研究でした。昆虫食の推進により、2050年に起こると予測されている「タンパク質クライシス」(世界的なタンパク質の供給不足)に対処できると考えられています。
多古高校生物部では、令和5年度から「学生チャレンジ事業」に参加しています。「昆虫のチカラ」をキーワードに、企業、大学、町と連携して総合的・複合的にSDGsを学んできた成果として、6月7日(土)、大阪・関西万博のパビリオンで昆虫食研究の発表やコオロギの飼育に関する発表などを行いました。国内外からの来場者に2年間の研究成果を発信する姿は、とても堂々としていました。会場では、町の公式インスタグラムをフォローしていただいた方に、タンパク質を多く含む「コオロギパウダー」(コオロギを粉末状にしたもの)を練り込んだ饅まん頭じゅうが提供され、大好評でした。社会課題の解決を目指す高校生たちの挑戦は、これからも続いていきます。

◆生物部の皆さんにインタビュー
▽生物部部員
野田泰我(のだたいが)さん(3年)
昆虫食にはまだまだ研究すべき課題もありますが、家畜に比べ少ない餌や水で多くのタンパク質が得られるなどの利点があると思います。粉末状にしたコオロギパウダーはいわば代替プロテインのようなもので、タンパク質の摂取に役立ちます。
万博では、日本や外国の子どもたちも興味を持ってくれてうれしかったです。大人に比べて虫に対する抵抗がなく純粋に興味を持ってくれたのではないかと思います。いろいろな方に、まずは先入観を持たずに昆虫食に触れていただけたらいいなと思っています。虫だから気持ち悪い、見たくないという方もいるかもしれませんが、大きな可能性を秘めた存在なので、コオロギパウダーを使った食品を試したり、私たちの活動に触れたりしていただいて、その上で昆虫食を好きになっていただけたらうれしいです。

▽生物部部長
前林沙柊(まえばやしさと)さん(3年)
多古高校生物部では、コオロギの育成などに関する調査・研究を行っており、連携している東京農工大学にも実験データを提供しています。餌を変えてみるなど、いろいろと試行錯誤をしながらベストな飼育環境を探っています。
大阪・関西万博という世界に向けて開かれた特別な場所で自分たちの活動を説明する機会を頂けたことは、とても貴重な経験になりました。関わっている企業の方々のご支援も頂き、情報発信することができました。研究内容を誰にでも分かるように伝えることは難しく、言いたいことがうまく伝えられなかったときもありましたが、多くの方に私たちの活動へ興味や関心を持っていただけたので、とても達成感がありました。今後も私たちの活動への応援をよろしくお願いします。

多古高校生物部の皆さんは、日々試行錯誤しながら昆虫食の研究に取り組んでいます

◆編集後記
Sustainable(サステナブル)は、「持続可能な」という意味の英語の形容詞で、人類にとって重要なキーワードです。国際的な目標であるSDGs(Sustainable Development Goals、持続可能な開発目標)などは、日本でも定着しています。地球環境や資源エネルギー、社会制度など普段の生活で意識せず使っているものや恩恵を受けているものを次の世代もそのまま利用していける保証が必ずしもあるとは限りません。物事の持続可能性を考え、行動することが大切だと思います。
多古高校生物部の皆さんの活動は環境・食料問題などへの大きなアプローチとなり、持続可能な社会をつくる上での重要な取り組みの一つとなることでしょう。そして国内外から多くの人が訪れる大阪・関西万博の会場で、今までの活動の成果を伝える機会を得られたことは、とても貴重な経験になったと思います。

学生チャレンジ事業に関するお問合せ:産業経済課農業振興係
【電話】76-5404