- 発行日 :
- 自治体名 : 千葉県長南町
- 広報紙名 : 広報ちょうなん 令和7年11月号
■もの忘れ外来にて
今月号は、最近のもの忘れ外来で気をつけていることをお話ししましょう。それは、認知症の全経過を通じて、改善可能な部分を見出すということです。改善可能な部分を見出し、そこに焦点を当てることは生きる希望につながります。受診する人のほとんどは高齢者です。程度はさまざまですが、うつ病の合併が多く、希望を見いだせることはうつ病の改善にもつながり、認知機能障害の改善も期待できるのです。
認知機能障害の原因はたくさんあります。そしてある人のもの忘れの原因はひとつではありません。可能な限り、すべての原因を見つけ出すのが重要になります。意外な薬の副作用で認知機能障害が生じていることもあります。また、飲酒や喫煙などの生活習慣が大きく影響していることもあります。もの忘れ外来では、採血検査や頭部CT、MRIなどの画像を利用して原因を検索します。見つかった改善可能な原因についてアプローチしていきます。
最近は、認知症の前段階と呼ばれる軽度認知障害(MCI)の人の受診が増えています。軽度認知障害とは、もの忘れ以外の認知機能障害が目立たず、生活障害も認められない状態をいい、いわゆる「年相応のもの忘れ」と呼ばれる状態も含まれます。軽度認知障害の状態であれば、適切なリハビリで年間16-41%の人が健常な状態に戻るといわれています。どんなリハビリが有効かは、その人によってちがいます。それまでどのような生活を送ってきたのか、何が得意で、どんなことが好きだったのか、また嫌いだったのか、ご本人やご家族、支援している人と一緒に検討していきます。本人だけに「こうしてみましょう」と提案することもできますが、成果を最大に上げるポイントがあります。それは、ご家族や近くにいる人に一緒にやってもらうことをおすすめすることです。私たちは、普通に生活していても毎日数万個の脳の神経細胞が減少しているといわれており、30歳、40歳以上であれば、多くの人が若い頃よりも記憶力の低下を感じていることが多いと思います。こうした状態を主観的認知機能低下(SCD)と呼びます。主観的認知機能低下から健常な状態へ戻るリハビリは、軽度認知障害のリハビリ、認知症の進行予防のリハビリと内容はほぼ同じなのです。本人だけにやってみましょうと言ってもなかなかできないことが多いのですが、ご家族にも自分ごととして一緒にリハビリに取り組むことで大きな成果が期待できるのです。一緒にやることで、家族の間の絆も深まり、本人の不安の改善も期待できます。

▽主観的認知機能低下
本人は、もの忘れなど認知機能低下を感じているが、検査では何の異常も認められず、他人は気づかない状態
▽軽度認知障害
記憶力は低下しているが、他には症状がなく、生活上の支障もない状態~いわゆる年相応のもの忘れを含む
そして、認知症支援で最も重要な精神症状、行動障害に関しての対応です。認知症の全経過を通じて、不安やうつ、幻覚や妄想などの精神症状の合併が多く、こうした精神症状を未然に防ぐこと、適切に対応することは認知症支援での大きなポイントになります。こちらは稿を改めてご説明しましょう。
■上野先生を講師に迎えた「認知症学習会」を毎月開催しています。
ぜひご参加ください。
日時:11月19日(水)15時〜16時(要事前申込)
場所:保健センター
問い合わせ(申込先):福祉課 包括支援センター
【電話】46-2116
