- 発行日 :
- 自治体名 : 東京都千代田区
- 広報紙名 : 広報千代田 令和7年(2025年)10月20日号No.1650
戦後80年が経過し、戦争・被爆体験者は年々減っています。
そうした中、戦争の悲惨さや平和の大切さについて学び、周りの人に伝えたいと考えて集まった若者を平和使節団として沖縄、広島、長崎の各都市へ派遣しました。平和使節団員の現地での活動の一部をご報告します。
■旅程
◇沖縄班
期間:7月23日~25日
対馬丸記念館、戦争体験者講話、宜野湾市平和大使の皆さんとの平和学習会@宜野湾市立博物館、ひめゆりの塔、ひめゆり平和祈念資料館、平和の礎、沖縄県平和祈念資料館 ほか
◇広島班
期間:8月5日~7日
広島市役所旧庁舎資料展示室、全国平和学習の集い(被爆体験講話、ディスカッション)、平和記念式典、原爆死没者追悼平和祈念館、平和記念公園(原爆の子の像、動員学徒慰霊塔、平和の鐘、原爆ドームなど)、広島平和記念資料館 ほか
◇長崎班
期間:8月8日~10日
青少年ピースフォーラム(長崎市平和会館、原爆落下中心地など、出島メッセ長崎)、平和祈念式典、未来を生きる子らの像、平和を祈る子の像、長崎大学医学部(旧・長崎医科大学)、長崎原爆資料館、長崎平和公園、永井隆記念館 ほか
■団員の感想
◇沖縄班
(1)「ひめゆりの塔の千羽鶴の献架。同じくらいの年の方があんなに恐ろしい生活をしていたのかと衝撃でした」
(2)「小学3年生のときに沖縄戦を体験された方にお話を伺いました。実際に体験した方がいなくなってしまうことがどれほどの損失となるかを今一度考え、今後平和を目指す活動や方針を定めるべきだと思いました」
(3)「宜野湾市立博物館での平和学習では、館長さんの『戦争の記憶は、語り継がなければ風化してしまう』という言葉が心に残り、過去を知ることが未来への責任と気付かされました」
◇広島班
(4)「間近に見る原爆ドームは、爆風に耐えた鉄骨や地面に落ちている瓦礫など、想像以上の迫力で、原爆の破壊力に言葉を失うほど。平和のシンボルとして、必ず残しておくべきだと思いました」
(5)「広島市観光ボランティアの方に広島平和記念公園をガイドしていただきながら見学しました。被曝の跡を実際に見て、原爆の恐ろしさや平和の大切さを改めて感じました」
(6)「被爆者の才木幹夫さんにお話を伺い、私たち平和使節団が被爆者の生の声をしっかり伝える役割を担っていると改めて思いました。その後、他の地域の参加者とグループを作り、地元での戦争被害などについて話し合いました」
◇長崎班
(7)「青少年ピースフォーラムに参加して全国の中高生と平和についての考えを共有し、とても刺激になりました。平和への努力のバトンを私たち若い世代が引き継いでいかなければと感じました」
(8)「被爆80周年長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典に参列。世界中の方々が見守る中、静粛に式典は進みました。世界平和の重要性を身にしみて感じる式典でした」
(9)「永井隆記念館を訪問。館長さんは『そもそも平和とは何かを考えてほしい、そして小さな平和を作ることが大きな平和につながる』と話されました。永井博士が執筆活動を通じて原爆や平和について残された数々の言葉は、私の心に深く刻まれました」
■戦後80年 私たちは考えた
◇対馬丸記念館で考えたこと[沖縄班]
館内には忘れてはならないものばかりでした。帰り際、対馬丸記念館を振り返って感じたのは入るときとは全く違う悲しい潮の匂いでした。この体験を通じてこのようなことはもうあってはならないことだと強く感じました。(橋本)
◇平和にするためには[長崎班]
平和とは、争いがないことはもちろん人々が他人の言動で傷つき嫌な思いをすることなく過ごせる状態だと思います。これを実現させるために、私は以前より人を思いやることを意識し、一つ一つの言動に対して責任を持って行動していきたいです。(長谷川)
◇広島が教えてくれたこと[広島班]
体験者の言葉には教科書や資料からは得られない重みがあります。だからこそ私たちはその言葉を大切に受け止め、平和の尊さや戦争の悲惨さをしっかりと学び、次の世代に伝えていかなければなりません。伝え続けることは、平和な社会を守るために私たちが果たすべき大切な役割です。
これからは自分の生活の中で「平和を守るためにできることは何か」を考え、行動に移します。そして、友達や家族など身近な人たちに伝え、少しでも平和の輪を広げていきたいです。(相馬)
◇世界の恒久平和を願って[広島班]
私たちはいつも想像力不足によって人を傷つけてしまいます。どんな小さな行動でもそれを起こすとき、あらゆる方向へ想像力を働かせて、相手が受ける被害を想像しきれていないと理解しなければならないのです。自分の行動が、発言が、周りの人を傷つけないかを考えてから行動すること、こうした積み重ねが、間接的暴力の撲滅に近づく唯一の方法である、と確信しています。(佐竹)
◇戦争が奪ってしまうもの[沖縄班]
戦争は多くの罪のない人が亡くなり、大切な家族や物、そして人々の余裕のある豊かな心まで奪ってしまうものと分かりました。人が人の姿でいられなくなり、知らないうちに他の人を傷つけてしまうことも知りました。絶対にあってはいけないものであり、平和がとても尊いことを改めて考える機会になりました。
沖縄で見聞きして知ったことを生かし、平和がどれほど尊いものかをより多くの人に知ってもらいたいです。(古田)
◇平和への願い[長崎班]
地球市民としていろいろな人に出会い、たくさんの文化や伝統、宗教を学び、視点を広げていきたいと思います。そして相手を理解しようと努力し、尊重し、自分を伝えようと努力していこうと思いました。(白川)
問合せ:国際平和・男女平等人権課国際平和係
【電話】03-5211-4165
