くらし 12月4日~10日は「人権週間」です(2)

■品川区人権擁護委員インタビュー 私たちの活動、私たちの願いを知ってください。
○悩んでいる人の人生を受け止め、寄り添いながら解決の糸口を見つける
人権擁護委員会委員長 松尾 和英さん
人権擁護委員の活動とは、ひと言で言えば「人権に関わる相談を受ける」ことですが、実際にはもっと広く、深い活動です。広いというのは、子どもや女性、高齢者、障害者の人権、ハラスメントやいじめ、プライバシーの侵害など、対象や問題が多岐にわたること。そして深いというのは、相談にきた当事者の人生を受け止め、誰もが平等に持っている自由で幸せに生きる権利を取り戻す方法を一緒に考える役割を担っているからです。
活動の大きな柱は、電話や面談による相談ですが、委員の中には相談の内容が重すぎて、「ご飯が食べられなくなってしまった」という方もいます。入れ込み過ぎず、委員という立場でどう対応するかが、この活動の難しいところかもしれません。私たちは人権擁護委員としての研修は受けますが専門家ではありませんので、相談にきた方の話をよく聞き、行政や関係機関、弁護士などに橋渡しをしています。解決の方向性が見え、「心が軽くなった」と笑顔で話されるのを見ると、私たちの活動の意味が少しでもあったのかなと感じます。
人権に対する意識を醸成するため、区内の小学校や中学校へ出向き「人権教室」も開いています。子どもの人権、いじめの問題、SNSとの向き合い方など、学年に応じた内容で話をしています。自分はもちろん、他者も大切な存在と考える心が育ってほしいと思っています。

○子どもたちが育てた「人権の花」が、多くの人の心に人権の種をまいてくれる
人権擁護委員 江口 千枝さん
保護司の活動をしていたことから声をかけていただき、人権擁護委員に就任して6年目になります。活動の大変さは保護司と変わりませんが、一緒に活動する仲間がいることは大きな支えになっています。困ったことがあったら相談できる、助けてくれる仲間は良き友人でもあり、この歳になっても信頼できる人間関係を築けることは、この活動に携わっているおかげだと思っています。
人権擁護委員の活動の中で、私は「人権の花運動」を担当しています。これは小学校の総合的な学習の時間などを利用して、子どもたちが自分たちの手で花を育てる取り組みです。種を用意して学校を訪問し、種の植え付けを一緒にやりますが、これがとても楽しくて。花を育てることで、命の尊さやお友だちと協力することの大切さを感じ、思いやりの心を育ててほしいと思います。
今年もたくさんのきれいな人権の花が咲きました。咲いた花は校内だけでなく、地域の方たちにも見ていただけるよう展示しています。人権の花を見て、人権について話すきっかけになればと願っています。

○作文を書くことで人権について考え、もやもやとした気持ちが楽になることも
人権擁護委員 長谷川 一也さん
全国中学生人権作文コンテストをご存じでしょうか。中学生が人権について考える入り口として作文を書いてみようという試みで、法務省と全国人権擁護委員連合会が主催し、人権擁護委員は連絡役を務めています。区内の中学校に働きかけ、学校の先生のご協力のもと取り組んでいますが、この活動に携わるようになって4年目。どんな作品があがってくるのか毎年楽しみにしています。先生方のご指導もあり、生徒たちの人権について考える視点や理解は、深くなっていると感じます。テーマを決めず、生徒たちが日頃感じていることから考えを広げ、自由な発想で取り組んでほしいとお願いしておりますが、子どもの視点から教えられることもあり、自分の勉強にもなっています。また、作文を通じて、いじめで悩んでいる生徒がいることがわかった事例もありました。書くことで「気持ちが楽になった」「書けてよかった」という声を聞くことは、何よりもうれしいです。
6年度には浜川中学校の作品が東京都大会で優秀賞を受賞しました。これがさらなる追い風になればと期待しています。