くらし 大学連携で取り組むジェンダーの平等と性の多様性。(1)
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- 発行日 :
- 自治体名 : 東京都渋谷区
- 広報紙名 : しぶや区ニュース 令和7年(2025年)3月1日号
―ジェンダー平等を、全ての学生の“自分ごと”に。―
■しぶや区ニュース×渋谷のラジオ 渋谷のラジオで出張インタビュー
「渋谷ジェンダー平等推進アワード2024」を受賞した、聖心女子大学グローバル共生研究所と青山学院大学スクーンメーカー記念ジェンダー研究センターの皆さんにお話を伺いました。
・聖心女子大学 現代教養学部教育学科教授/グローバル共生研究所兼任所員 杉原真晃(すぎはらまさあき)さん
「学生の真っすぐな姿勢は大学を動かす力があります。この取り組みをぜひ、温かく見守って、応援してください。」
・聖心女子大学 現代教養学部基礎課程1年 川﨑文華(かわさきあやか)さん
「今後も交流を続けて、さまざまな学生の視点や経験を知ることで、学びを深めたいです。」
・青山学院大学 スクーンメーカー記念ジェンダー研究センター助手 下村沙季(しもむらさき)マリンさん
「大学間の連携によって、学生・教職員ともに新たな知見を得られ、手応えを感じています。」
・青山学院大学 法学部ヒューマンライツ学科2年 呉暁潔(ごぎょうけつ)さん
「不平等に対するモヤモヤを一人で我慢せず、みんなで一つになって生きていきましょう!」
◆キャンパスを行き来して、活発に意見交換
◇聖心女子大学グローバル共生研究所および青山学院大学スクーンメーカー記念ジェンダー研究センターの設立の背景と活動内容を教えてください。
杉原:聖心女子大学グローバル共生研究所(以下、グローバル共生研究所)は、本学の教育理念に基づき、グローバル共生を実践するための教育・研究・社会活動を行うことを目的に設立されました。気候変動、ジェンダー平等、子どもと戦争、難民・移民といったグローバル課題をテーマにした展示やワークショップ、セミナーを開催しています。
下村:青山学院大学スクーンメーカー記念ジェンダー研究センター(以下、ジェンダー研究センター)は、本学の源流の一つである女子小学校を創設した婦人宣教師の名前に由来していて、青山学院女子短期大学閉学後、女子教育の歴史を次世代に継承することを目的に設立されました。ジェンダーや性の多様性に関連する講義や学生のサポート、講演会やワークショップの開催、ギャラリー展示、本の閲覧・貸し出しなどの幅広い活動を行なっています。
◇「渋谷ジェンダー平等推進アワード2024」を受賞した大学間連携の取り組みについて教えてください。
杉原:東京レインボープライド※12023で、渋谷インクルーシブシティセンター<アイリス>と区内3大学で協働ブースを出展したことをきっかけに、聖心女子大学と青山学院大学の連携が始まりました。それぞれが運営している読書カフェやコミュニティースペースで意見交換会を行なったり、青山学院大学から下村先生を講師としてお招きして性の多様性や性的同意についてお話しいただいたり、東京レインボープライド2024でも協働ブースを出展したりと、さまざまな場面で連携しています。活動は不定期ですが、キャンパスが近いため、両大学を気軽に行き来しながら交流を重ねています。
下村:ジェンダー平等にとどまらず、さまざまなグローバル課題の研究に取り組む聖心女子大学と連携させていただくことで、学生・教職員ともに新たな知見を得られ、大きな手応えを感じています。今後は、学生同士の交流をもっと深めていきたいです。
川﨑:受賞を聞いた時は、純粋にうれしかったです。同じ大学の学生とジェンダー問題を考えることも有意義な学びになりますが、異なる大学で異なる教育を受けてきた学生ならではの視点や経験を知ることで、より学びが深まると感じています。
※1 性的マイノリティーに関する日本最大規模のイベント。令和5(2023)年は区と青山学院大学ジェンダー研究センター、聖心女子大学グローバル共生研究所、津田塾大学による協働出展を行い、令和6(2024)年は実践女子大学も加わった協働出展を行なった。
◆仲間と集い、学び、語り合える場がある安心感
◇自身が通う大学にジェンダー平等を推進する施設があることをどのように感じていますか?
川﨑:講義や文献からは読み取れない細やかな情報や当事者の声を反映した展示・ワークショップなどを通じて、机上の学びだけでなく、自分の頭と心を用いた深い学びと視点を得られていると感じています。今年度から学生主体のイベント企画も行なっていて、先日開催した映画鑑賞会では、参加した学生からジェンダー平等に対して理解が深まったという声が聞けて、とてもうれしかったです。
呉:ジェンダー研究センターが単なる制度にとどまらず、学生が安心して利用できる場所として機能していることに大きな魅力を感じています。ジェンダーにまつわる最新の情報が得られたり、相談に乗ってくれるスタッフもいらっしゃったりと、とても居心地の良い環境です。ジェンダー関連の本も豊富に揃っていて、私はレポート作成時や学びを深めたい時によく借りています。学生同士が気軽に意見交換できたり、無料の生理用品やオールジェンダートイレなどの誰もが使いやすい環境が整っていたりする、私にとっては未来を感じる場所です。