くらし 令和7年第1回区議会定例会 区長所信表明(抄)

2月19日(水)の区議会定例会における長谷部区長の発言の一部を掲載します。

◆1 スポーツ振興
本年11月、聴覚障がいのある人のオリンピック「東京2025デフリンピック」が日本で初めて開催されます。これまで障がい者スポーツの振興やスポーツボランティアの育成に積極的に取り組んできた成果を十分に生かし、気運醸成や聴覚障害の理解促進に力を入れていきます。
さらに、渋谷区スポーツ協会の体制を強化し、あらゆる世代が性別や競技レベルに関わらず、ライフステージに合わせた多様なスポーツ・文化活動に参加できる環境を構築していきます。

◆2 教育
(1)未来の学校プロジェクト
本年9月に開設する仮設校舎「青山キャンパス」では、個人や協働での多様な学びを実現するラーニング・コモンズや、映像・音楽制作、プログラミングなどの創作活動に取り組める「未来共創空間」などを整備し、広尾中学校・松濤中学校の子どもたちと魅力あるキャンパスづくりを進めていきます。
(2)探究「シブヤ未来科」
昨年4月から、毎日午後は探究の時間となりました。これにより、受け身の学習ではなく、自分で考え、仲間と協働して課題を解決するプロセスを通して、子どもたちの主体的に学ぶ力が向上していると感じています。
来年度は、学校と企業などとのマッチングをサポートする探究ポータルサイトの機能拡充や、大学生・大学院生がメンターとなり、子どもたちを伴走支援する体制を整備します。
(3)本町幼稚園
今年度、創立60周年を迎える本町幼稚園は、3月末をもって閉園となります。教育委員会とも連携し、本町幼稚園の多年にわたる教育実践の蓄積が、本区の幼児教育のさらなる発展につながるように取り組んでいきます。

◆3 子育て支援
(1)渋谷本町こども園
本年4月、本町区民複合施設内に、保育・教育の質を担保しながら、法人の特色を生かした、学校法人渋谷教育学園運営の魅力ある認定こども園を開設します。一時保育、子育て相談などの「子育てひろば事業」も、秋までに開始を予定しています。
(2)子育て支援施策の充実
「児童育成支援拠点事業」では、児童虐待や不登校などの課題に対して、個別のニーズに対応した居場所をつくり、必要な支援を行います。加えて、「ちょこっと通園事業」を継続するとともに、都の補助金を活用した「ベビーシッター利用支援事業」も、10月を目途に実施していきます。
(3)保育士相談窓口の設置
本区の保育士のみならず、私立の認可園で働く保育士が、外部機関にメールで気兼ねなく何でも相談できる窓口を設置します。

◆4 福祉
(1)民生委員・児童委員の活動支援
多様化する活動の実態を踏まえ、来年度から民生委員・児童委員に支給する活動費を23区トップクラスに増額し、活動のサポートを強化します。
また、災害時相互応援協定を締結した自治体との交歓研修を行います。民生委員同士が日ごろから交流を図ることにより、災害時の応急対策を円滑かつ効果的に実施できるように、交流の機会を創出していきます。
(2)障害者福祉センター「はぁとぴあ原宿」における障がい福祉サービスの拡充
「日中一時支援事業」における、夏休みなどの長期休暇期間の開始時間について、始業時間を30分前倒し、8時30分から開始できるよう整備を進めます。
また、「生活介護事業」は10時から15時までの5時間の利用時間としていますが、利用時間を1時間拡充し、6時間とする方向の検討を始めました。

◆5 健康
昨年度より、区独自に帯状疱疹(ほうしん)ワクチンの接種費用の一部助成を行なってきましたが、来年度から予防接種法に基づく定期接種となったことから、定期接種の対象者には、4月から助成額を引き上げ、接種費用を全額公費で負担します。

◆6 環境政策
(1)ふれあい植物センター
現在、開園時間を3時間延長した臨時運営を行なっていますが、多くの皆さまに好評であるため、開園時間を21時まで延長する条例改正案を提案しています。
(2)落書き対策
来年度から、落書きを消去した場所にアートを描くアロープロジェクトを拡充します。「アートとローカル」の力を主軸として、地域と協働したアートを描くことで、落書き対策の取り組みをさらに加速していきます。

◆7 玉川上水旧水路緑道の再整備
昨年の夏から、笹塚緑道と大山緑道の一部区間の工事に着手していますが、3月、ついに完成します。なお、樹木については、当初の想定より根が広がっていることが判明したことから、根の保護範囲を大幅に広げるなど、現場状況に応じて丁寧に対応しています。

◆8 西参道プロジェクト
既存のイチョウを生かしながら、首都高速道路の高架下などに植栽を増やし、年間を通じて緑あふれる空間にしていきます。そして、駒テラス西参道を起点として、道路や代々木ポニー公園などの公共空間を活用した多様な活動を生み出すことにより、西参道らしい、にぎわいや文化の交流を創造するまちの実現に向けた取り組みを進めていきます。

◆9 初台地区の公共施設整備
初台区民施設と初台敬老館は、いずれも老朽化が進んでいることから、今後の施設計画について検討してきました。現在、基本計画の素案を作成しているところです。本定例会で素案のご報告をした後、パブリック・コメントを実施し、基本計画として取りまとめていきます。

◆10 出張所の移転
恵比寿駅前出張所は、待合スペースの不足や職員の動線などさまざまな課題があり、利用者にご不便をおかけしている状況です。利便性が損なわれず、現在よりも広いスペースが確保できる場所として、アトレ恵比寿内のスペースへの移転を進めていきたいと考えています。また、現出張所スペースについては、アトレ恵比寿への貸付を行うことを検討するとともに、一部を喫煙所とすることで、地域課題の解決も図りたいと考えています。

◆11 昨今の建設工事を取り巻く状況
人手不足や物価高騰によるコスト高の影響もあり、本区が発注する工事について、価格や工期が折り合わず、契約締結に至らない事例が生じています。公共施設や学校の建設については、状況に合わせて適宜、計画の修正も実施し、区政運営や学校運営に支障が生じないように工夫していきます。

区長の発言全文は、区ポータルに掲載しています。