- 発行日 :
- 自治体名 : 東京都杉並区
- 広報紙名 : 広報すぎなみ 令和7年6月15日号 No.2406号
■「アニメのまち杉並」を象徴するミュージアムの館長として
─杉並区にはアニメーション制作会社がたくさんありますが、その背景にはどんな理由があるのでしょうか?
アニメーション制作会社は全国に約800社あり、そのうち700社ほどが東京。その中でも約150社が存在する杉並区を含むJR中央線・西武線周辺エリアに集中しています。この発端はフィルム時代、先述したように原画・動画・セル画・背景などを各スタジオから回収する必要があったことも影響しており、これが都心なら、渋滞が多く、車で頻繁に移動するには効率が悪いですから。必然的に多くのクリエイターがこのエリアに住むようになり、どんどん拡大していったと考えられます。そんな中、杉並区は早い段階から地域で「アニメのまち」として盛り上げていく活動をしてきました。だからこそアニメのまちの土壌ができたのだと思います。
─そこで20年前に誕生したのが杉並アニメーションミュージアムですね。
日本のアニメは、国策としてもっと力を入れて取り組んでも不思議ではないほど重要な文化になっています。その文化事業を杉並区が自治体として取り組んでいるのはすごいことです。館長就任を依頼していただいた際はとても光栄でしたし、アニメーションミュージアムがアニメ業界を応援する一つの情報発信基地になればと思っています。
─アニメーションミュージアムの特徴や魅力は何ですか?
原作者のミュージアムや記念館は各地にありますが、アニメに関する映像や書籍など豊富な資料が閲覧できるライブラリーや上映シアターも併設されている、ここまでアニメーションに特化した施設は世界でも唯一無二と言えるでしょう。圧巻は、アニメの歴史を紹介する歴史年表コーナー。ほかにも、トレース(写し描き)やコマ撮りを体験できるアニメ制作コーナーや、声優のようにセリフを録音するアフレコブースもあり、展示を見るだけでなくさまざまな体験ができるのも魅力です。受付にある柱には、原作者をはじめとする著名なクリエイターのサインやイラストがたくさん描いてあるので、ぜひ見に来てください。
─今後、どのようなアニメーションミュージアムを目指していきたいですか?
今は海外からのお客さんも多く、ツアー客に限らず個人でも、世界中からさまざまな方が訪れます。もちろん地域の親子連れや子どもたちも多く、子どもの居場所として親御さんたちが「子どもがここで遊んでいる分には安心できる」と言ってもらえるのは大変うれしいです。10年・20年先も皆さんに楽しんでもらえる、そんな施設を目指していきたい。まずは、平成20年までしかないアニメの歴史年表の続きをぜひつくりたいです。
─最後に日本のアニメへの思い、未来に期待することをお願いします。
日本のアニメは、歴史的に海外に比べて低い予算でいかに映像化するか。という課題に向き合い、少ない作画枚数でも表現手法や撮影技術を工夫するなどの進化を遂げてきました。いわゆる「リミテッドアニメーション」と呼ばれる制作手法で日本独自に発展してきました。そして独創的なストーリーや絵コンテの繊細さ、作画のクオリティーの高さも改めてすごいなと思います。僕が会社に入った頃は年間50本ほどだったテレビアニメが今では年間300本以上。多くの作品がありますが、一つ一つの作品が大切にされ、その中から時代が変わっても愛される作品が生まれていくことを期待しています。
■おかげさまで20周年!杉並アニメーションミュージアム20周年展
杉並アニメーションミュージアムの開館20周年を記念した展示を開催します。
開催期間:7月22日(火)~31日(木)午前8時30分~午後5時
場所:区役所1階ロビー、2階区民ギャラリー
内容:過去の企画展のポスター展示、アニメーションミュージアム・区内アニメ制作会社紹介ほか
問合せ:産業振興センター観光係
【電話】5347-9184
■杉並アニメーションミュージアム企画展「映画 それいけ!アンパンマン」展(開催中!)
「映画 それいけ!アンパンマン」の最新作公開を記念し、これまで公開されてきた映画の貴重な制作資料・当時のポスターなどを展示しています。詳細は、東京工芸大学 杉並アニメーションミュージアムHP(下2次元コード)をご覧ください。
※2次元コードは本紙参照
開催期間:7月21日(祝)までの午前10時~午後6時(月曜日を除く。入館は5時30分まで。最終日は4時まで)
場所:東京工芸大学 杉並アニメーションミュージアム(上荻3-29-5)
「ぜひ遊びに来てね!」
問合せ:同施設
【電話】3396-1510
※杉並アニメーションミュージアムは、平成30年9月より東京工芸大学とネーミングライツ協定を締結しています。