- 発行日 :
- 自治体名 : 東京都足立区
- 広報紙名 : あだち広報 2025年2月10日号
通勤途中、ご近所の神社に立ち寄るのを日課にしています。決して広い境内ではありませんが、保存樹を含む高木が本殿まで続く参道に沿って立ち並び、気持ちの良い空気が身体(からだ)をすっぽり包んでくれます。深呼吸すると、まるで肺の中まで洗われるような清々(すがすが)しさです
足立区の保存樹木・保存樹林の制度は、昭和49年に「まちの歴史とともに受け継がれてきた大木や樹林を次世代に引き継ぐこと」を目的にスタートしました。保存樹木・樹林の管理は所有者が行いますが、管理費用のほんの一部を助成することで、区も保全のお手伝いをしています
かつて、一面に葦原(あしはら)が広がっていた(区名の由来との説もあります)当区の土壌は水捌(は)けが悪く、地下水位も高いため、樹木が十分に根を張れず、大きく育ちにくいのです。そうした環境下でも、驚くほど長い年月を生き抜き、生命をつないできた大木は地域の財産といえます
悩ましいのは、「落ち葉で滑りやすい」「掃除が大変」などの理由で剪定(せんてい)を望むお声と、「樹木を茂らせて日陰を作ってほしい」「強剪定は景観上も好ましくない」という相反するお声が寄せられることです。区としては、どちらにも耳を傾けざるを得ず、双方にご満足いただける解決策が見出(みいだ)せないのが現状です
今回の特集記事をきっかけに、ご近所の樹木や樹林に目を向けていただき、お一人おひとりの問題としてとらえてくだされば嬉(うれ)しいです。
足立区長 近藤やよい