文化 〔かつしか人〕若い力が活躍!
- 1/45
- 次の記事
- 発行日 :
- 自治体名 : 東京都葛飾区
- 広報紙名 : 広報かつしか 令和7年7月5日号
区内で地域のために活動したり、スポーツや文化・芸術などに一生懸命取り組んだりしている若い世代の方を紹介します。
※取材依頼の受け付けは行っていません。
■扱ってくれる人を思い一つ一つ丁寧に
▽西村拓巳さん(24)
平成13年生まれ。三味線工房「三絃司きくおか」にて、令和6年4月から三味線の修理や製作を行う。
◇東京三味線との出会い
小さい頃からものづくりが好きだったのですが、職人になりたいとは思っていませんでした。大学生の時にカメラにのめり込み、趣味で写真を撮ったり動画を編集したりするようになり、ものづくりが好きだったこともあって、職人のものづくりの工程を動画にしたいと考えました。
さまざまな職人さんに直接連絡をして動画を撮影しているなかで、現在働いている「三絃司きくおか」の葛飾区伝統工芸士である河野公昭さんにも取材のお願いをしました。三味線づくりは時間もかかるため動画撮影は断られてしまいましたが、河野さんから話を聞く中で「三味線という楽器を日本だけにとどめず、世界に発信していきたい」という言葉に心を打たれ、三味線づくりの道に進むことを決めました。
◇職人の世界に触れて
三味線の修理や製作を行うようになって、職人の技術のすごさを改めて実感しました。三味線は一本の木材から全て手作業で作るのですが、組み立てた際に木目がどのように合わさるのか、木をどのくらい削るのか、きれいな音を出すには皮をどのくらい張るのかというのは、感覚で判断しています。木の削り方や皮の張り具合の少しの違いで音が変わってしまったり、演奏する際の感覚が変わってしまったりします。職人としての感覚を身に付けることは大変ですが、学ぶこともたくさんあるのでとても楽しいです。
今後は、演奏家の方が弾きやすい、ここに頼んでよかったと思ってもらえるように、たくさんの技術を身に付けて、良い音が鳴る、弾きやすい三味線を作れるように頑張っていきたいです。
◇東京三味線を身近なものへ
現在は、新しい三味線を作ることは少なく、広く三味線を知ってもらうために開発された「小じゃみチントン」などを製作しています。小じゃみチントンは、演奏方法はほとんど三味線と変わりませんが、三味線よりも軽く、皮ではなくユポ紙という耐久性の高い紙を使っているため、さまざまなデザインのものがあります。
また、小学校で三味線の授業を行い、演奏を聴いてもらったり、小じゃみチントンを弾いてもらったりしています。手軽な小じゃみチントンをきっかけに三味線のことを知ってもらい、少しでも興味を持ってくれたらうれしいです。
◇伝統産業の技術を継承するために
日本にはさまざまな伝統産業がありますが、職人の世界には若い世代の人が少なく、素晴らしい技術や文化が継承されず、失われようとしているものもあります。技術を少しでも残すため、業界全体で技術を継承するための動画を制作しています。
私自身も、趣味でアプリの開発をしているので、この業界に取り入れていければと考えています。
ただ、動画などで継承できる技術にも限界があります。ぜひ若い世代の方に興味を持ってもらい、技術を継承しようとする人が増えてくれるとうれしいです。
▽2面で葛飾区伝統産業職人会について紹介しています
担当課:広報課
【電話】03-5654-8116