文化 青梅市の文化財探訪4

■「重要文化財 鍍金長覆輪太刀」
市文化財保護指導員 塚田直樹

青梅市には国指定の重要文化財が11あり、その1つ「鍍金長覆輪太刀(ときんながふくりんたち)」は、武蔵御嶽神社宝物殿にあります。指定されたのは、古社寺保存法(現・文化財保護法以前のものとされる)が制定されてから間もなくの明治32(1899)年です。刀身の部分と茎(なかご)を合わせると約115cmで、鎌倉時代中期製作とされています。刀を納める刀装具である拵(こしらえ)は、金と銀で鍍金(ときん)され、柄の部分と鞘(さや)の部分は合わせて約127cm、刀身共の重量は約4kgの大太刀です。刀装具には、「金」の文字が線刻されています。これは「金御嶽」を意味したもので、金剛蔵王権現に奉納するために改装したものとされています。また、蓮の花や葉、つる先などが彫られ、華麗なデザインであり、宗教的な雰囲気が込められたものとなっています。江戸開府時に徳川家康が奉納したものと伝わり、抜くことが許されない太刀として扱われました。
この太刀が立派なものであることから、武蔵御嶽神社における神への信仰の深さや畏敬の念を裏付けるものでもあります。「神の太刀」として扱われている存在が、青梅市や御岳山の歴史や太刀の価値をより深めています。

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